スマートフォンやタブレットの外出時の強い味方である エレコム モバイルバッテリー 10000mAh 20W や Anker PowerCore Slim 10000 などのモバイルバッテリー。
しかし、「充電中に本体が熱くなる」と感じたことはありませんか?
実はこの発熱、単なる「少し暖かい」という状態だけでなく、最悪の場合「発火・爆発」に至るリスクを含んだ現象でもあります。
この記事では、モバイルバッテリーが熱くなる“原因”から、“安全な使い方・選び方”、そして“異常時の対応”まで、網羅的に解説します。
モバイルバッテリーが熱くなる背景とリスク
買ったばかりのモバイルバッテリーが熱くなるのは正常?それとも異常?
モバイルバッテリーを新品で購入してすぐに使ったとき、思ったより熱くなると「故障なの?安全なの?」と不安になる方は多いです。
新品でもある程度の発熱は正常な現象で、必ずしも危険というわけではありません。
ここでは、なぜ新品でも熱くなるのか、その理由と安全な範囲を詳しく解説します。
新品モバイルバッテリーが発熱する3つの主な理由
新品のモバイルバッテリーが熱くなる原因は大きく分けて3つあります。
- 内部抵抗による発熱 リチウムイオン電池には内部抵抗があり、電流が流れると必ず熱が発生します。新品では内部構造がまだ慣れていないため、初期使用時に少し熱くなることがあります。
- 充放電時の化学反応 電池内部では充放電のたびに化学反応が起こります。新品では内部の電解液や電極が安定していないため、充電中や放電中に一時的に温度が上がることがあります。
- 高出力充電や同時使用による負荷 急速充電(PDやQC対応)やスマホと同時に複数機器を充電すると、バッテリーにかかる負荷が大きくなり、熱を帯びやすくなります。
モバイルバッテリーが充電中に熱くなる理由
リチウムイオン電池の発熱メカニズム
モバイルバッテリーに多く使われているリチウムイオン電池は、充電・使用中に化学反応を伴っており、一定の発熱は正常な動作です。
しかし、発熱が「正常」な範囲を超えてしまうと、以下のような負荷がかかります。
発熱が引き起こすリスク—劣化・熱暴走・火災
発熱が常態化すると、バッテリーの劣化が進み、内部構造の破損やショートなどを経て「熱暴走(Thermal Runaway)」という危険な現象に至る可能性があります。
例えば、夏場の車内での放置など、モバイルバッテリーにとって許容温度を大きく超える環境下では、発火事故につながった事例も報告されています。
「熱い」=どこまでが許容範囲?「正常範囲」か目安温度で判断
モバイルバッテリーが温かくなるのは必ずしも異常ではありません。
ただし、「手で触って非常に熱い」「膨らみがある」「異臭がする」など、明らかにいつもと違う状態であれば、異常を疑う必要があります。
また、メーカーが提示する使用・保管温度範囲を超えていないかチェックすることも重要です。
例えば、使用温度0℃~40℃/保管0℃~35℃とされている製品があります。
全ての製品に該当するとは言えませんが一般的な目安として数字が判断基準の一つとして考えられます。
| 温度 | 判断 | 対応 |
|---|---|---|
| 約40℃以下 | 正常範囲 | 手で触れて温かい程度なら心配なし |
| 約40〜50℃ | 注意 | 長時間連続使用は避ける、通気の良い場所で使用 |
| 50℃以上 | 危険信号 | 触れないほど熱い・煙や異臭がある場合は使用中止 |
発火事例がある主なメーカーと製品
- cheero(ティ・アール・エイ株式会社)
- 代表的な事故製品:「cheero Flat 10000mAh」
- 2023年からリコール対象になっており、山手線事故等で負傷者も発生した記事が出ています。
- Anker(アンカー・ジャパン)
- 最近では「PowerCore 10000」など4製品が製造不良(電池セルの異物混入)で発火事例報告、2025年に大規模リコール実施。
- IKEA(イケア・ジャパン)
- 「VARMFRONT ヴァルムフロント モバイルバッテリー」発火リスクで2024年リコール。
- CIO
- Belkin
- Baseus(Shenzhen BaseusTechnology Co., Ltd)
傾向と注意点
定期的なメーカー公式サイトでのリコール情報チェックと購入時の安全基準・製品レビューの確認が推奨されます。
また、購入当初全く問題ないで製品でも劣化は進みます。
3年程度経過し使っていない古いバッテリーは、早めに処分する方が安心です。
モバイルバッテリーを熱くさせないための対策
発熱を抑えるための使い方・習慣
環境を整える
使用方法を見直す
製品選び・安全基準を理解する
PSEマーク・信頼できるメーカーを選ぶ
モバイルバッテリーは安全性を保証する「PSEマーク」が付いた製品を選ぶことが重要です。
また、メーカーの安全対策(発熱試験、品質保証、ユーザーサポート等)を確認することもおすすめです。
発熱対策機能・冷却設計のある製品を選ぶ
- 温度制御機能付き、過熱保護回路内蔵のモデルを選ぶこと。
- ケースや環境を工夫する(例:ケースの素材による冷却、風通しの良い配置)ことで、発熱リスクを軽減できます。
- ケーブル・充電器も規格(USB-PDなど)に適合した高品質なものを併用し、モバイルバッテリーだけでなく充電エコシステム全体を見直しましょう。
買い替え時期の目安とチェックポイント
一般的な寿命目安は「1〜2年」または「充放電サイクル300〜500回程度」です。
以下のいずれかに該当したら、「買い替え検討」のサインです:
注意点:異常時・緊急時の対応
異常を感じたらすぐに行動を
発火・出火が起きた場合の対応
処分・廃棄の際の注意
Ankerモバイルバッテリーが充電中に熱いときの対処法
モバイルバッテリーで人気が高く、信頼が高かったAnkerのモバイルバッテリーですも事故は起きてしまいます。
モバイルバッテリーそのものが、一人一人が使い方や扱いをよく理解することが重要です。
Ankerのモバイルバッテリーは高性能ですが、充電中に少し熱くなることがあります。大半は正常な範囲ですが、安全に使うために以下の方法を確認してください。
充電環境を見直す
他のモバイルバッテリー同様に夏場の車内や暖房付近での充電は温度上昇の原因になります。モバイルバッテリーを布団や狭いケースに入れたまま充電すると熱がこもります。机の上など風通しの良い場所で充電しましょう。
充電ケーブルと充電器を確認する
急速充電に対応していないケーブルだと内部抵抗で熱が出やすくなります。純正または認証済みケーブルを使用しましょう。
急速充電や同時充電の負荷を減らす
複数端末を同時に充電すると発熱しやすいです。可能であれば1台ずつ充電するか、低出力モードを利用すると発熱が抑えられます。
使用温度の目安を守る
Ankerの公式サイトでは、充電時の推奨温度は0〜40℃と明記されています。温度が40℃を超える場合は、充電を一旦中止し、冷却してから再開するのが安全です。
モバイルバッテリーに適切な環境で使う事が、本来の性能で利用できる事になります。
異常な発熱のサインを確認
この場合は使用を中止し、メーカーサポートに相談してください。
AnkerはPSE認証製品で安全設計されていますが、異常が出た場合は自己判断せず交換・修理対応を受けましょう。
「発熱が心配の方」におすすめのモバイルバッテリー
モバイルバッテリーを充電するという事は、前述したように内部で化学反応が伴っています。
充電時に電流が流れる事で機器が熱を持つ事は避けられません。
バッテリーでなくても、多くの家電は稼働(通電)させている間は熱を持っている経験を多くの方しているでしょう。
大切なのは正常時以上の熱を持たない工夫がされているかです。
熱暴走を抑える製品として、エレコムのナトリウムイオン電池を採用した製品
準個体電池を採用し国内検査と独自セル制御により、加熱試験でも発火ゼロを実現したHamaken WorksのSSPB シリーズ
まとめ:安全なモバイルバッテリー利用のために
「モバイルバッテリーが熱くなる」という現象は、単なる仕様上の“少し暖かい”という範囲を超えると、重大な安全リスクを含みます。
この記事では、原因(環境・使用方法・製品仕様)、予防(正しい使い方・保管・選び方)、異常時の対応(緊急対応・廃棄)までを解説しました。
ポイントを改めて整理すると以下のとおりです:
モバイルバッテリーは非常に便利なアイテムですが、適切な管理・使用がなされなければ、利便性がそのまま「危険」に転じる可能性もあります。
安全に、かつ長く使い続けるために、今日から使い方を見直してみてください。





