充電が遅い、ケーブルが多い――そんなストレスを解消してくれるのが、USB Power Delivery(USB PD)です。
スマートフォンからノートパソコン、さらにはディスプレイやゲーム機まで、1本のUSB Type‑Cケーブルで複数機器を高速・安全に充電できます。
この記事では、「usb power deliveryとは」という基礎を中心に、PD規格の進化・対応ケーブルの選び方・見分け方・最新対応機器まで総まとめします。
USB Power Deliveryとは:仕組みとメリット
USB Power Delivery(USB PD)とは、USB Type‑Cケーブルを使用して最大240Wの電力を供給可能にしたUSBの急速充電規格です。
接続時に機器同士が最適な電圧と電流を自動で交渉(ネゴシエーション)し、スマホからPCまで最適なスピードで充電できます。
主なメリットは以下の通りです。
USB Power Delivery規格の進化(PD 2.0/3.0/3.1)
USB PDはバージョンアップとともに給電性能が大きく向上しています。
特にPD 3.x世代以降では、安全制御や通信規格との連携性能が高まり、スマートデバイスの標準仕様として急速に普及しています。
| 規格 | 最大出力 | 主な特徴 | 代表的対応機器 |
|---|---|---|---|
| PD 2.0 | 100W | 初期の高出力規格 | 一部ノートPC(2018年前後) |
| PD 3.0 | 100W | 機器間制御の通信拡張 | MacBook Air, iPad Air |
| PD PPS | 100W程度 | 電圧可変でスマホ充電最適化 | Galaxy, Pixelシリーズ |
| PD EPR(3.1) | 240W | 48V対応、高性能ノート向け | MacBook Pro 16″, USB‑Cモニター |
さらにPPS(Programmable Power Supply)では、発熱を抑えながら高速充電を行えるため、スマートフォンやタブレットには特に有効です。
PD対応とは?機器・ケーブル・充電器の見分け方
機器側の見分け方
充電したいデバイス側の見分け方としては、以下の3つチェック項目でPDに対応しているか判断できます。
充電器側の見分け方
充電するために電力を供給する機器の見分け方としては、以下の3つチェック項目でPDに対応しているか判断できます。
ケーブル側の見分け方
充電器と充電するデバイス間を繋ぐケーブルについて、見かけ方を確認しましょう。
- 「最大100W/240W対応」「E‑Marker搭載」などの記載
- ケーブル太さがしっかりしており、端子部にPDマークがある製品が多い
USB PD充電器の選び方:出力別の基準
使用するデバイスによって必要な出力は異なります。以下の表を目安に選ぶと失敗しません。
| 用途・機器 | 推奨出力 | 備考 |
|---|---|---|
| スマートフォン | 20〜30W | iPhone, Galaxy, Pixelなど |
| タブレット | 45W前後 | iPad Air / miniほか |
| ノートパソコン | 65W〜100W | MacBook Air/Pro, Windowsノート |
| ゲーミングノートPC | 140W〜240W(EPR対応) | PD 3.1必要、専用ケーブル推奨 |
「USB PD PPS対応充電器」は最新スマートフォンと相性がよく、より安定した充電が可能です。
USB PD対応ケーブルの基礎知識と選び方
先ほどUSBケーブルの見分け方でも触れましたが、もう少し深くケーブルについて解説しましょう。
USB PDは高出力での給電を行うため、E‑Markerチップ内蔵ケーブルが推奨されます。
E‑Markerはケーブルの対応電流・出力をデバイスへ伝える役割を持ち、240W給電を実現する上で不可欠です。
選び方のポイント:
USB PDモバイルバッテリーとは:外出時の急速充電に最適
USB PD対応モバイルバッテリーは、スマートフォンだけでなくノートPCまで急速充電できる携帯電源です。
| 用途 | 推奨容量 | 出力 | 目安モデル例 |
|---|---|---|---|
| スマホ向け | 10,000mAh | 20W | Anker PowerCore III 10000 PD |
| タブレット向け | 15,000〜20,000mAh | 45W | CIO SMARTCOBY Pro 30W |
| ノートPC向け | 20,000〜30,000mAh | 65〜100W | ELECOM EC-C17LBK |
ポイント:モバイルバッテリー自体の入力(充電)もUSB PD対応なら、復電も速く効率的です。
PD充電のデメリットと注意点
便利なUSB PDですが、以下のポイントには注意が必要です。
これらのリスクを軽減するためには、USB‑IF認証取得製品や純正ケーブルの使用が安全です。
対応スマホ・ノートパソコン主要リスト(2025年版)
| メーカー | スマートフォン/ノートPC名 | PD対応 | PPS対応 |
|---|---|---|---|
| Apple | iPhone 17シリーズ/MacBook Air/MacBook Pro | ○ | 一部非対応 |
| Pixel 6〜10シリーズ | ○ | ○ | |
| Samsung | Galaxy S21〜S25シリーズ | ○ | ○ |
| Sony | Xperia 1 II〜1 VI/5シリーズ | ○ | ○ |
| Lenovo | ThinkPad X1 Carbonシリーズ | ○ | ○ |
| ASUS | ZenBook, VivoBookシリーズ | ○ | ○ |
| HP | ENVY, Spectreシリーズ | ○ | ○ |
| Dell | XPS, Inspiron Type‑Cモデル | ○ | ○ |
よくある質問(FAQ)
- QUSB PDとQuick Charge(QC)の違いは?
- A
PDは国際標準規格、QCはQualcommの独自規格です。最近のスマホはPDもQCも併用する「PD+PPS」方式が主流です。
- QPD非対応機器をPD充電器で充電できますか?
- A
できます。自動的に5Vモードで出力されるため、安全に通常速度で充電されます。
- Qケーブルが長いと速度は落ちますか?
- A
2mを超えると電力ロスが発生しやすくなります。1.0〜1.5mのPD対応ケーブルが最も安定します。
- QPD 3.1(EPR対応)充電器は今すぐ必要?
- A
Q4:PD 3.1(EPR対応)充電器は今すぐ必要?
A:240W級の高出力を要するハイスペックノートPCを使用している場合のみ推奨です。
- QUSB PDはデータ転送にも関係ありますか?
- A
PDはあくまで給電規格であり、データ転送速度はUSB 2.0/3.x/Thunderbolt規格に依存します。
まとめ:USB Power Deliveryとは?仕組み・対応機器・選び方
USB Power Delivery(USB PD)は、スマートフォンからノートPCまでを効率よく充電できる統一規格です。
複数のデバイスを一元管理でき、発熱や過充電も制御されるため、安全性と利便性を両立できます。
これから充電環境を整えるなら、ケーブル・充電器・モバイルバッテリーをUSB PD対応製品で統一するのが最も合理的です。


