「赤ちゃんがハイハイを始めたけど、ストーブガードって本当に必要?」「どんなガードを選んで、どこに置けばいいの?」と迷っていませんか?
結論からいうと、小さな子どもやペットがいる家庭で床置きのストーブ・ヒーターを使うなら、ストーブガード(安全柵)はあったほうが安心です。消費者庁も、床に置くタイプの暖房器具は子どもの手が届かない場所に置くか、安全柵などで囲むよう呼びかけています。ただしガードの役割は「人を近づけないこと」で、洗濯物などが触れて起きる火災までは防げません。
この記事では、ストーブガードが必要な理由を消費者庁・NITE(製品評価技術基盤機構)の事故データで示したうえで、囲い方・サイズ・高さ・熱くならないかといった選び方と、メーカーの取扱説明書にもとづく置き方の注意を解説します。
ストーブガードは必要?事故のデータとガードの役割
子どもの暖房器具の事故は、ストーブ・ヒーターによるやけどが最多
小さな子どもがいる家庭では、ストーブやヒーターのまわりを柵で囲う意味は大きいといえます。
消費者庁に寄せられた暖房器具などによる6歳以下の子どもの事故情報357件のうち、ストーブやヒーターによるものが208件(約6割)と最も多く、そのうち185件(約9割)がやけどだったからです(消費者庁「暖房器具等での子供のやけど及びけがに気を付けましょう」平成28年11月)。
同じ資料には、実家の石油ストーブにつかまり立ちをしてⅢ度(皮膚の全層に及ぶ深さ)のやけどを負い、入院して皮膚の移植手術を受けた0歳児の例や、祖母宅でいすから降りるときにストーブに手をついてしまった3歳児の例が載っています。消費者庁の子ども向けメールマガジンでも、ストーブの柵につかまり立ちをした際に上に置いていたやかんが倒れ、熱湯を浴びた0歳10か月の例が紹介されています(消費者庁 Vol.641)。
事故は11月から増え始め、12月・1月がピークです。帰省先など、ふだんと違う環境で起きた事故もあるため、冬に入る前に対策を考えておきましょう。
ガードの役割は「近づけない」こと。火災までは防げない
ストーブガードは、子どもやペットが熱い本体にさわるのを防ぐための道具で、ガードがあれば暖房器具を安全に使えるというわけではありません。
暖房器具の火災で多いのは、衣類や布団などの燃えやすい物がふれたり近づいたりして燃え出す事故で、これはガードがあっても起こりうるからです。NITEによると、2010〜2019年度の暖房器具の火災事故1,361件のうち、可燃物の接触によるものが187件と最も多く、そのうち電気ストーブが97件(52%)を占めました。燃えた物が推定できた168件では衣類が67件(40%)と最多で、特に洗濯物を乾かしていた事故が目立ちます(NITE「衣類や布団などの可燃物の接触に注意!」2020年11月)。
NITEが2025年3月に行ったアンケートでも、電気ストーブで焦がした物は「衣類・タオル(干していた洗濯物も含む)」が121件で最も多くなっています(NITE「ストーブとの程よい距離感が大切です」2025年10月)。火を使わない電気ストーブでも火災は起きるので、ガードを置いたあとも「まわりに物を置かない・干さない」は変わりません。
ストーブガードがあると安心な家庭と場面
ストーブガードを特に考えたいのは、熱い物を「熱い」と判断できない家族がいる家庭です。
メーカーの取扱説明書でも、子どもや高齢の方、ペットがいる場面での使い方に注意を促しているからです。たとえばアイリスオーヤマの電気ストーブ(KIEHD-800)の取扱説明書は、乳幼児の手の届くところで使わないこと、使用中や使用後しばらくは前面ガードなどの熱い部分にさわらないことを求め、乳幼児やお年寄りが使うときは特に注意するよう書いています(取扱説明書)。
一方で、子どもが大きくなり、熱い物に近づかないと理解できるようになれば、ガードがなくても取扱説明書の距離を守って使えます。家族の年齢や暮らし方に合わせて判断しましょう。
ストーブガードの選び方:囲い方・サイズ・高さ・熱くならないか
囲い方で選ぶ:壁ぎわなら三方式、部屋の中ほどなら四方式

ストーブガードは、まず暖房器具を置く場所に合わせて「何方向を囲むか」で選びます。
壁ぎわに置くなら背面は壁がふさいでくれますが、部屋の中ほどに置くなら背面からも近づけてしまうからです。主なタイプは次のとおりです。
三方式を壁ぎわで使う場合も、後ろで説明する「背面・側面の距離」を壁との間にとれるかを確かめてから置きましょう。
暖房器具の種類とサイズに「適応」するガードを選ぶ
ストーブガードは、手持ちの暖房器具の種類と大きさに合うと明記されたものを選びましょう。
同じ「ストーブガード」でも、使える暖房器具の種類や大きさがメーカーごとに決められていて、合わないものでは温風が当たったり、本体との間が狭くなったりするからです。たとえばアイリスオーヤマのストーブガードは、型番ごとに「適応ストーブサイズ」と使える暖房器具の種類を示しています。
| 型番(タイプ) | ガードの大きさ(幅×奥行×高さ) | 使える暖房器具(適応サイズ) |
|---|---|---|
| STG-580N(四方式) | 約58×53×71cm | 幅48cm×奥行38cm以内の石油ストーブ専用。対流式ストーブ・ファンヒーターには使えない |
| SS-650N(三方式) | 約65×56×71cm | 幅51cm×奥行33cm以内の石油ストーブ、FF式・煙突式(輻射式に限る) |
| FFG-850N(三方式) | 約80×62×71cm | 幅70cm×奥行40cm以内の石油ファンヒーター、FF式・煙突式石油ストーブ。石油ファンヒーターと温風式石油ストーブは吹き出し口の高さが床から30cm以下のものに限る |
このように、四方式のSTG-580Nは石油ストーブ専用でファンヒーターには使えず、ファンヒーターにも使えるFFG-850Nでも吹き出し口の高さに条件があります。電気ストーブやセラミックファンヒーターに使う場合も、商品の説明で「電気ストーブ・電気ヒーターに使えるか」と「本体の幅・奥行が適応サイズに収まるか」を確かめましょう。本体の大きさは、手持ちの暖房器具の取扱説明書の「仕様」欄に書かれています。ストーブとヒーターの違いはストーブとヒーターの違い、電気ヒーターの種類は電気ヒーターの種類と違いで解説しています。
高さ・すき間・安定性も確かめる
囲い方とサイズが決まったら、子どもやペットが乗り越えたり、すき間から手を入れたり、ガードごと倒したりできないかを確かめます。
消費者庁の事例のように、子どもは柵につかまり立ちをすることがあり、ガードが低かったり軽かったりすると、身を乗り出したり柵ごと暖房器具に倒れかかったりするおそれがあるからです。上の表のアイリスオーヤマのガードは、いずれも高さ約71cmです。
買う前に子どもの身長やペットの大きさを測っておき、取り付けたあとは実際にガードを軽く揺すって、ぐらつきがないかを確認しましょう。
「熱くならない」かは、素材よりも暖房器具との距離で決まる
「熱くならないストーブガード」を選びたい場合は、素材だけでなく、ガードが暖房器具から十分に離れる大きさかどうかを重視しましょう。
暖房器具の熱は、ふれていなくても放射熱(離れた物に赤外線などで伝わる熱)や温風で離れた所まで届くからです。メーカーが取扱説明書で「前方1m以内に物を置かない」などの距離を決めているのはそのためで、ガードがその範囲の内側に入るほど、ガード自体も熱を受けやすくなります。暖房器具の本体についている網(前面ガード)は使用中に熱くなるので、取扱説明書でも「使用中や使用後しばらくはさわらない」とされています。後付けのストーブガードとは役割が違う点に注意しましょう。
樹脂やシリコンなどでおおわれたガードもありますが、熱への強さや使える暖房器具は商品ごとに違います。商品の説明で使える暖房器具の種類を確かめ、使い始めたら、運転中にガードの表面を大人が手の甲で軽くさわってみて、熱いと感じる場合はガードの位置を本体から離すか、暖房の強さを下げましょう。
ストーブガードの置き方と使い方の注意
取扱説明書の「離す距離」を守る(前方は1m以上が安心)

ストーブガードを置くときも、暖房器具と壁・家具・カーテンなどとの距離は、手持ちの製品の取扱説明書のとおりにとります。
NITEも、暖房器具は取扱説明書などで指定された距離を壁や周囲の家具、衣類などからとるよう呼びかけているからです。東京都の調査では、電気ストーブを使う人の63.1%が、取扱説明書の距離(正面は主に1m以上)より近くに物を置いていました(NITE 2025年10月の資料の別紙で紹介)。主な製品の取扱説明書の距離は次のとおりで、製品によって違います。
| 製品(種類) | 前方 | 左右 | 上方 | 背面 |
|---|---|---|---|---|
| アイリスオーヤマ KIEHD-800(遠赤外線電気ストーブ) | 約1m以上 | 約50cm以上 | 約1m以上 | 約10cm以上 |
| 山善 DS-SD083(電気ストーブ) | 約100cm以上 | 約30cm以上 | 約100cm以上 | 約4.5cm以上 |
| アイリスオーヤマ ACH-MN12A(セラミックファンヒーター) | 約60cm以上(吹き出し口から) | 約30cm以上 | 約50cm以上 | 約10cm以上 |
| デロンギ RHJ75V0815(オイルヒーター) | 壁・カーテンなどから約20cm以上、人や家具からは約1m以上 | 燃えやすい物から約1m以上 | 約20cm以上 | |
| コロナ FH-CPF33(石油ファンヒーター) | 約100cm以上 | 約15cm以上 | 約100cm以上 | 約15cm以上 |
前方の距離は、確認した5製品のうち4製品が1m(100cm)以上、セラミックファンヒーターのACH-MN12Aは吹き出し口から60cm以上でした。当サイトでは、より安全な置き方として、暖房器具の種類にかかわらず前方は1m以上あけることをおすすめします。60cmなど短めの距離の製品を使う場合は、手持ちの製品の取扱説明書でその距離が指定されていることを確認してください。左右・上方・背面も、手持ちの取扱説明書の値を守り、ソファやベッド、テレビ台などの家具も「物」として距離をとりましょう。ストーブとサーキュレーターを併用するときの注意はサーキュレーターの置き方で解説しています。
ガードに洗濯物を掛けない・物を置かない

ストーブガードは物干しではありません。ガードにタオルや洗濯物を掛けたり、上に物を置いたりしないでください。
ガードに掛けた物が暖房器具に落ちたり、温風の出口や空気の取り入れ口をふさいだりして、火災や故障の原因になるからです。コロナの石油ファンヒーター(FH-CPF33)の取扱説明書は、ストーブガードなどの囲いに干し物を掛けたり、衣類・紙などで温風吹出口や空気取入口をふさいだりすると、本体が過熱して操作部などが変形したり、やけどや故障・破損につながったりして大変危険だと警告しています(取扱説明書)。
暖房器具の近くで洗濯物を乾かさないでください。NITEは、暖房器具の周囲に可燃物を置かないこと、特に近くで衣類などを乾かさないことを呼びかけています。2025年10月の資料でも、石油ストーブの上のほうに掛けていた洗濯物が落ちて焦げた例や、石油ストーブに落ちた洗濯物が燃える再現画像が掲載されています(NITE)。室内干しの洗濯物が落ちて届かない位置に暖房器具を置き、ガードの内側にもおもちゃや紙などが入り込まないようにしましょう。
ストーブの上にやかんを置かない・人感センサーに頼らない
小さな子どもがいる家庭では、ガードを置いたうえで、ストーブの上にやかんや鍋を置くのをやめ、人感センサー付きの暖房器具はセンサー機能を切っておきましょう。
消費者庁の資料には、ガードでは防ぎにくい次のような事故が載っているからです(消費者庁 平成28年11月)。
消費者庁は、子どもは湯気や音に興味を示すことがあるのでストーブの上にやかんや鍋を置かないこと、人感センサー付きの暖房器具はセンサー機能を切り、止めるときは本体の電源が切れていることを確認することを呼びかけています。あわせて、ストーブやヒーターをいすやソファに近づけすぎないことも挙げています。
ガードがあっても目を離さない。離れるとき・寝るときは消す
ストーブガードを置いても、部屋を離れるときや寝るときは暖房器具を消し、電気製品は電源プラグも抜きましょう。
NITEの分析では、可燃物の接触による火災で使用状況がわかった182件のうち、使用中にその場を離れたときが77件(42%)と最も多く、就寝中も42件(23%)ありました(NITE 2020年11月)。アイリスオーヤマの電気ストーブの取扱説明書も、部屋を離れるときや就寝時は必ず電源を切り、電源プラグを抜くよう求めています。
また、暖房器具の熱は直接ふれなくても伝わります。消費者庁は、暖房器具に直接ふれなくても熱気や熱風でやけどをすることがあるとして、十分に距離をとり、長時間当たり続けないよう呼びかけています。高齢の方や、こたつ・ストーブの前でうたた寝しやすい方がいる場合は、ガードの外側でも近づきすぎていないか、家族で声をかけ合いましょう。
ペットがいる家庭は「ペットの暖房に使わない」もあわせて守る
犬や猫がいる家庭では、ストーブガードでペットを本体に近づけないようにしつつ、人用の暖房器具をペットの暖房として使わないようにしましょう。
アイリスオーヤマの電気ストーブとセラミックファンヒーターの取扱説明書は「ペット用には使用しない(ペットの健康を害するおそれがある)」とし、ペットが電源コードを噛む場合は近づけないよう求めています。デロンギのオイルヒーターの取扱説明書にも「犬や猫などのペットの暖房に使用しない」とあります。
ガードで囲うときは電源コードもガードの内側や家具の裏を通して、ペットが噛んだり足を引っかけたりしないようにしましょう。ペットだけで留守番させる時間に、人用の暖房器具をつけっぱなしにするのも避けてください。
ストーブガードについてよくある質問
電気ストーブや電気ヒーターにもガードは必要?
小さな子どもやペットがいるなら、電気ストーブや電気ヒーターでも囲うと安心です。消費者庁は暖房器具の種類を問わず、床置きタイプは子どもの手の届かない場所に置くか安全柵などで囲むよう呼びかけていて、事例にはハロゲンヒーターにさわってやけどをした0歳児の例もあります。電気ヒーターの種類ごとの熱の出方は電気ヒーターの種類と違いを参考にしてください。
ストーブカバーとストーブガードは何が違う?
ストーブガードは使用中に本体のまわりを囲う柵、ストーブカバーは一般に使わない時期のほこりよけなどに本体へかぶせる袋や布です。カバーは使用中にかけないでください。暖房器具に布などがふれると、NITEが注意しているように過熱して燃えるおそれがあり、コロナの取扱説明書も温風吹出口や空気取入口を衣類などでふさがないよう警告しています。カバーをかけるのは、本体が十分に冷えてからにしましょう。
手作りや100円ショップの材料で代用してもいい?
当サイトではおすすめしません。暖房器具の近くは、取扱説明書が物を置かないよう求めている範囲で、段ボールや布、プラスチックなど燃えやすい・熱に弱い材料を使うと、それ自体が火災の原因になりかねないからです。また、手作りの柵は子どもが寄りかかったときに倒れたり外れたりしやすくなります。使う場合は、使える暖房器具の種類が明記された市販のガードを選びましょう。
ストーブガードを置けば、まわりとの距離は気にしなくていい?
いいえ。ガードは人やペットを近づけないためのもので、壁・家具・カーテン・洗濯物などとの距離は、ガードがあっても取扱説明書のとおりにとる必要があります。ガードの外側に置いたソファやカーテンが、取扱説明書の距離の内側に入っていないかを確認しましょう。
まとめ:ストーブガードは「近づけない」ための道具。距離と使い方もセットで
ストーブガードは、小さな子どもやペット、高齢の家族がいる家庭で、ストーブやヒーターの熱い本体にふれる事故を防ぐのに役立ちます。消費者庁に寄せられた6歳以下の子どもの暖房器具の事故では、ストーブ・ヒーターによるものが約6割を占め、その約9割がやけどでした。
選ぶときは、置く場所に合わせて三方式・四方式などの囲い方を決め、手持ちの暖房器具の種類と大きさに適応するものを選びます。高さ・すき間・安定性も確かめ、「熱くならない」かは素材だけでなく、ガードが本体から十分に離れる大きさかどうかで考えましょう。
置くときは、取扱説明書の距離を守り、当サイトでは前方1m以上あけることをおすすめします。ガードに洗濯物を掛けない、ストーブの上にやかんを置かない、離れるときや寝るときは消す、の3つもあわせて守ってください。暖房器具ごとの電気代は暖房器具の電気代比較や電気ヒーターの電気代で解説しています。


