暖房のときのサーキュレーターは、床に置いてエアコンの対角線上から、エアコンの吹き出し口や天井付近に向けて斜め上に風を送るのが基本の置き方です。対角に置けない部屋では、部屋の中央に置いて真上(天井)に向けます。
この記事では、アイリスオーヤマ・パナソニック・シャープ・ダイキン・ボルネードの公式情報と取扱説明書をもとに、暖房でサーキュレーターを使う理由、置き方と向き、風量や首振りの設定、逆効果になる置き方をまとめました。扇風機で代用できるか、石油ストーブや電気ストーブと一緒に使うときの注意、つけっぱなしやタイマーの使い方もあわせて紹介します。
暖房でサーキュレーターを使う理由と、基本の置き方・向き
暖房にサーキュレーターを使うのは、天井付近にたまった暖気を足元へ回すため
暖房でサーキュレーター(部屋の空気を循環させるための送風機)を使う目的は、天井付近にたまった暖かい空気をかき混ぜ、冷えやすい足元まで回すことです。
暖かい空気は軽いので上に、冷たい空気は重いので下にたまる性質があり、暖房をつけていても足元だけが寒い、という温度ムラが起きやすいからです。
ダイキンは、足元が冷えるときは設定温度を上げるのではなく、空気清浄機やサーキュレーターで足元の冷たい空気と天井付近の暖かい空気をかき混ぜるよう勧めています。パナソニックも、サーキュレーターで空気をかき混ぜると温度差が生じにくくなり、足元の寒さが解消されると説明しています。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでも、エアコン暖房時の工夫として「扇風機を併用。暖まった空気を循環させましょう」と紹介されています。
サーキュレーターそのものは部屋を暖める機械ではありません。すでに暖房で暖めた空気を、部屋の中でむだなく使うための道具と考えると、置き方や向きの考え方がわかりやすくなります。
基本の置き方は「エアコンの対角線上の床」から、エアコンに向けて斜め上

エアコン暖房と併用するときは、サーキュレーターをエアコンの対角線上の床に置き、エアコンの吹き出し口のほう(斜め上)に向けて風を送る置き方が基本です。
エアコンから下向きに出た温風と天井付近の暖気にサーキュレーターの風を当てることで、部屋全体を大きく回る空気の流れができるからです。
各メーカーの説明は、次のようにおおむね一致しています。
| メーカー | 暖房時の置き場所 | 風を向ける方向 |
|---|---|---|
| パナソニック | エアコンの対角線上 | エアコンの吹き出し口に向けて |
| アイリスオーヤマ | エアコンの対角線上の床 | エアコンから出る風に向けて(取扱説明書の設置例は「部屋の角(エアコン)に風を送る」) |
| シャープ | 暖房器具の対角線上/部屋の隅 | 上部にたまった暖気・天井に向けて |
| ダイキン | エアコンの対角線上の離れた位置、またはすきま風が入る窓・給気口の前 | (上にたまった暖気をかき混ぜる) |
| ボルネード | 比較的暖かい場所(広い部屋は寒い場所の天井に向けて) | 天井に向けて上向き |
置く高さは床がベストです。パナソニックとアイリスオーヤマは、家具やテーブルの上など高い場所に置くと、サーキュレーターより下にある空気が回りにくくなると説明しています。
ボルネードだけは「比較的暖かい場所に置いて天井へ」と、置き場所の考え方が少し違います。製品ごとに風の届き方が違うためと考えられるので、まずは多くのメーカーが勧める「対角線上の床からエアコンに向けて」を試し、手持ちの製品の取扱説明書に設置例があればそちらも確認してください。エアコン側の風向きは下向きが基本で、詳しくはエアコン暖房の風向きで解説しています。
対角に置けないときや2部屋を暖めたいときは、部屋の中央で真上に向ける

エアコンの対角線上に家具があって置けないときは、サーキュレーターを部屋の中央の床に置き、真上(天井)に向けて風を送ります。
下から天井に風を当てると、天井付近にたまった暖気が左右の壁を伝って下りてくる流れができるからです。
この置き方はパナソニックとアイリスオーヤマがどちらも「対角に置けない場合」の方法として紹介しています。また、2部屋続きの間取りを1台のエアコンで暖めたいときも、アイリスオーヤマとシャープは、エアコンのある部屋の中央に置いて真上に送風する方法を勧めています(アイリスオーヤマは、部屋の構造によっては送風が難しい場合もあるとしています)。
真上に向けられるかどうかは製品によって違います。パナソニックのサーキュレーター F-D237D のように上下の首振りで「正面から上向き約90°」まで向けられる製品もあるので、首の角度を確認して置き方を選びましょう。
風量は最初に強め、流れができたら弱める。首振りはメーカーで考え方が違う
暖房と一緒に使うときの風量は、運転を始めたら強めにして空気の流れをつくり、流れができたら弱めるのが基本です。
一度空気が回り始めれば、弱い風でも循環が続くうえ、強い風のままだと体に当たって寒く感じやすいからです。
パナソニックは「運転し始めは強めにしておき、空気の流れができてきたら少し弱めましょう」、ボルネードは「強」で数分運転して循環し始めたら弱める、冬は上向きにして弱い風を送ると暖気がゆっくり降りてくる、と説明しています。
首振りについては、メーカーで考え方が分かれます。ボルネードは、首を振ると近くの空気がゆらされるだけで循環しにくくなるとして、首振りをしない設計にしています。一方、シャープは部屋の空気を立体的に循環させたい場合は上下左右の自動首振り付きモデルがよいとしています。当サイトでは、まずは首振りを止めて上の表の向きに固定し、それでも部屋の一部が寒いときに上下の首振りを試す使い方をおすすめします。固定のほうが風の向きを管理しやすく、人に風が当たりにくいからです。
エアコンの真下・窓際・ロフトなど、そのほかの置き場所
エアコンの真下や窓際にサーキュレーターを置く方法もありますが、どちらも目的がはっきりしているときの置き方です。
置き場所によって、かき混ぜたい空気(天井の暖気か、窓から入る冷気か)が変わるからです。
なお、エアコンの真下に1台だけ置いて真上に向ける方法は、今回確認したメーカーの説明では、アイリスオーヤマとシャープがロフトのある部屋の2台目として紹介しているだけで、1台で使う基本の置き方としては挙げられていませんでした。また、アイリスオーヤマの取扱説明書(PCF-SDS15T)は、エアコンや暖房器具の温風が当たらない場所に設置するよう求めています(変形・変色や誤動作のおそれがあるため)。エアコンの近くに置くときは、温風が本体に直接当たらない位置にしましょう。
暖房でサーキュレーターが逆効果になる置き方と、ストーブと併用するときの注意
風が直接体に当たると、暖房中でも寒く感じる

暖房でサーキュレーターが逆効果になるいちばん多いパターンは、風が直接体に当たる向きで使うことです。
風を感じると体感温度(体で感じる暖かさ・寒さ)が下がるため、部屋の空気が暖まっていても寒く感じてしまうからです。
パナソニックは、足元の冷え対策にサーキュレーターを使う際は「風が身体に当たらないように注意を。風を感じると体感温度が下がります」と説明しています。ボルネードも、夏は気持ちよい強い風も冬は体に当たると寒いため、「弱」で暖かい空気を循環させることが大切だとしています。
健康面でも、体に風を当て続ける使い方は取扱説明書で避けるよう書かれています。アイリスオーヤマのPCF-SDS15T 取扱説明書は「扇風機ではありません。非常に強力な風を発生します」として風を直接身体に当てないよう求め、パナソニックのF-D237D 取扱説明書も、乳幼児・お年寄り・自分で体温調節ができない方は、風を体に直接当てたまま長時間使うと体調をくずしたり脱水症状を起こしたりする原因になるとしています。風は天井やエアコンのほうへ向け、座る場所や寝る場所には向けないようにしましょう。
家具の上に置く・部屋の広さに合わない機種を使うのも逆効果になりやすい
風を人に当てていなくても、置く高さや機種の能力が合っていないと、空気がうまく回らず効果が出にくくなります。
サーキュレーターより下の空気は回りにくく、風が部屋の隅まで届かなければ温度ムラが残るからです。
アイリスオーヤマは、間違った場所に置くと快適な室温にならないだけでなく、エアコンが余計に稼働して電気代がかさんでしまうことがあるとし、適用床面積(その機種が空気を循環できる部屋の広さの目安)を超えた部屋で使うと、風が部屋の隅まで届かない原因になると説明しています。
「サーキュレーターを置いたのに暖かくならない」と感じたら、まず床に置いているか、風が天井やエアコンのほうへ届いているかを確かめ、それから機種の適用床面積を見直してください。
石油ストーブ・ガスファンヒーターなど火を使う暖房器具には風を当てない
石油ストーブや石油・ガスのファンヒーターなど、火を使う暖房器具とサーキュレーターを一緒に使うときは、暖房器具に風を直接当てないことが最も大切です。
風で炎があおられると、不完全燃焼や炎の飛散が起き、一酸化炭素中毒や火災につながるおそれがあるからです。
アイリスオーヤマのPCF-SDS15T 取扱説明書は、取扱説明書の中で最も重い区分の「警告」として「風をストーブなどの燃焼器具に向けて使用しない」と定めています。同社の公式マガジンも、風が火をあおって火力が強くなり、やけどや火災の原因になるおそれがあるとして、石油ストーブやファンヒーターと併用する場合は暖かい空気がたまる上部に風を当てるよう案内しています。シャープも、ストーブやファンヒーターと使うときは暖房器具の対角線上に置くのが基本としています。
サーキュレーターで空気をかき混ぜても、換気の代わりにはなりません。燃焼式の暖房器具を使う部屋では、サーキュレーターを使っていても暖房器具側の換気の指示に従ってください。
電気ストーブと使うときは、風で揺れるカーテン・洗濯物との距離に注意
電気ストーブやセラミックファンヒーターなど火を使わない暖房器具と併用するときも、サーキュレーターの風でカーテンや洗濯物などが暖房器具に近づかないように置くことが大切です。
暖房器具の事故は、燃えやすい物が接触して起きるものが多いからです。
NITE(製品評価技術基盤機構)によると、2020〜2024年の5年間に通知された主な暖房器具の事故は596件で、そのうち電気・石油のストーブやファンヒーターの事故が約8割を占めます。NITEは使用中の注意として、暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認し、洗濯物は乾かさないよう呼びかけています。サーキュレーター側でも、アイリスオーヤマの取扱説明書は可燃性のもののそばで使わないこと、カーテンなどを巻き込まない場所に置くことを求めています。
部屋干しの洗濯物にサーキュレーターの風を当てながら、同じ部屋で電気ストーブを使う、といった組み合わせは特に注意が必要です。当サイトでは、暖房器具の近くでは洗濯物を干さず、風の通り道にカーテンや布類が揺れて暖房器具に触れることがないかを確認してから使うことをおすすめします。暖房器具と可燃物の距離は、暖房器具の取扱説明書に書かれた距離を守ってください。
暖房に扇風機は代用できる?サーキュレーターのつけっぱなしとタイマー
扇風機とサーキュレーターの違いは「風の届き方」と「向けられる角度」
扇風機とサーキュレーターの大きな違いは、扇風機が人に当てるやわらかい風を広く送るのに対し、サーキュレーターは空気を循環させるための直線的な強い風を遠くまで送る点です。
目的が「人を涼ませる」か「部屋の空気を回す」かで、羽根や風の設計が違うからです。
パナソニックは、扇風機は人が風に当たることが前提でやわらかく心地よい風を広範囲に送るのに対し、サーキュレーターは遠くまで届く直線的で強い風を出す構造だと説明しています。また、同社の別の記事では、一般的な扇風機は上下・左右や斜め上にしか風を送れないのに対し、サーキュレーターは真上にも送れることを違いとして挙げています。
暖房では「天井に向けて風を送る」使い方が中心になるので、真上に向けやすく、風が遠くまで届くサーキュレーターのほうが向いています。
扇風機で代用するなら、上向き・弱い風で人に当てない
サーキュレーターがなければ、扇風機でも暖房時の空気の循環に使えます。その場合は、首をできるだけ上に向け、弱い風で、人に当てないように使いましょう。
扇風機でも暖まった空気をかき混ぜることはでき、逆に人に当てると体感温度が下がってしまうからです。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトは、エアコン暖房時の工夫として扇風機の併用を挙げています。ダイキンも(冷房時の説明ですが)、人との距離が近いと弱い風量でも体が冷えることがあるとして、扇風機の風を壁や天井に当てて跳ね返ったやわらかい風を利用する方法を勧めています。パナソニックは、上下左右に立体首振りできる扇風機なら部屋の空気をすばやくかき混ぜ、エアコンとの併用に使えるとしています。
扇風機は真上まで向けられないことが多いため、エアコンの対角線上から斜め上(エアコンのほう)に向ける置き方が合わせやすいでしょう。火を使うストーブには、扇風機の風も当てないようにしてください。
つけっぱなしは暖房と同時に。外出時や長く使わない時は電源を切る
暖房と一緒に使うサーキュレーターは、暖房をつけている間はつけたままにし、暖房を止めるときや外出時に一緒に切るのが基本です。
空気の流れは暖房と同時に回し続けることで温度ムラが抑えられ、暖房を止めた部屋で回しても暖める効果はないからです。
ボルネードは、冬は暖房と同時にサーキュレーターをオンにする使い方を紹介しています。サーキュレーター自体の電気代は小さく、パナソニックは最大運転時の消費電力が21W程度のモデルで1時間あたり約0.5円(31円/kWh)と試算しています。一方で、パナソニックのF-D237D 取扱説明書は、電気のむだ使いやおやすみ時の冷えすぎを防ぐためにタイマーをこまめに使うよう勧め、長期間使わないときは電源プラグを抜くよう案内しています(運転「切」でも約0.3Wを消費)。
寝るときに使う場合は、切タイマーを使い、風が寝ている人に当たらない向きにしてください。アイリスオーヤマの取扱説明書も、長時間使わないときはACアダプターをコンセントから抜くよう求めています(絶縁低下による漏電で火災・感電の原因になるため)。
暖房のサーキュレーターの置き方についてよくある質問
暖房にサーキュレーターは意味ない?
メーカーの試験では効果が示されています。アイリスオーヤマは、6畳の試験室(外気温3℃)で足元温度が24℃になるようエアコンを約2.5時間運転したところ、エアコンとサーキュレーターの合計の消費電力量が、エアコン単独の2.1kWhに対して併用では1.6kWhだったと公表しています。ボルネードも、上下の温度差が7℃ある環境で、開始数分で温度差を解消し「弱」でも1℃以内を保ったとしています。いずれもメーカー独自の条件での結果なので、効果は部屋や置き方で変わります。効果を感じないときは、この記事の「逆効果になる置き方」に当てはまっていないかを確認してください。
サーキュレーターを使ったら、暖房の設定温度は下げていい?
足元まで暖かく感じられるようになったら、設定温度を見直す余地があります。ただし、寒さを我慢してまで下げる必要はありません。設定温度の目安や、設定温度と実際の室温の違いは暖房の設定温度は何度がいい?で詳しく解説しています。
ホットカーペットやこたつと一緒に使ってもいい?
サーキュレーターで部屋の空気を回しながら、足元はホットカーペットで温める、という組み合わせもできます。その場合も、風が座っている人に当たらないよう天井やエアコンのほうへ向けましょう。ホットカーペットとエアコンを併用するときの電気代の考え方はホットカーペットの電気代で紹介しています。
床置きのエアコンや、天井の高い部屋ではどうする?
考え方は同じで、天井付近にたまった暖気を足元に回すように、床から天井へ風を送ります。天井の高い部屋や吹き抜けでは風が天井まで届く必要があるため、シャープは広めのリビングや天井の高い空間では風力が弱いと効果を感じにくいとしています。部屋の広さに合った適用床面積の機種を選ぶか、ロフトや吹き抜けのある部屋では2台使うことも検討してください。
まとめ:暖房のサーキュレーターは床置きで、風は天井・エアコンへ。人とストーブには当てない
暖房のときのサーキュレーターは、天井付近にたまった暖気を足元へ回すために使います。基本の置き方は、エアコンの対角線上の床から、エアコンの吹き出し口に向けて斜め上に風を送ること。対角に置けない部屋や2部屋続きの間取りでは、部屋の中央に置いて真上に向けます。
風量は最初に強め、空気が回り始めたら弱めにし、首振りはまず止めて向きを固定するのが当サイトのおすすめです。風が直接体に当たる、家具の上に置く、部屋の広さに合わない機種を使う、といった使い方は逆効果になりやすいので避けましょう。
石油ストーブやファンヒーターなど火を使う暖房器具には風を当てず、電気ストーブと使うときはカーテンや洗濯物との距離にも気をつけてください。扇風機で代用するなら上向き・弱い風で人に当てないこと。暖房を止めるときや寝るときは、タイマーを使って一緒に切るようにしましょう。


