「ホットアイマスクって本当に効果があるの?」「毎日使うと目に悪いって聞いたけど大丈夫?」と気になっていませんか?
結論からいうと、ホットアイマスクで目もとを温めると、目の疲れや乾きなどの自覚症状をやわらげる効果が期待できますが、視力の回復や病気の治療ができる道具ではありません。目に悪くなりやすいのは、目の病気・手術後・炎症があるのに使う、熱すぎる温度で長く当てる、つけたまま眠る、といった使い方です。
この記事では、日本眼科学会などがまとめた診療ガイドライン、医療機器として承認されたアイマスクの添付文書、充電式ホットアイマスクのメーカー(アテックス・サンコー)の取扱説明書、NITE(製品評価技術基盤機構)の資料をもとに、ホットアイマスクの効果がどこまで確かめられているか、使ってはいけない人と場面、使い捨て・繰り返し使えるタイプ・充電式の違い、温度と時間の目安、寝落ちと低温やけどの注意を解説します。
ホットアイマスクの効果はどこまで?「目に悪い」といわれる理由
目を温める効果は、診療ガイドラインと医療機器の効能で確かめられている
目もとを温めることには、眼科の診療ガイドラインや医療機器の承認内容といった、公的な裏付けのある効果があります。
日本眼科学会・日本角膜学会・ドライアイ研究会が2023年にまとめたマイボーム腺機能不全診療ガイドラインでは、まぶたを温める「温罨法(おんあんぽう)」を治療として行うことが「強く推奨」されているからです。マイボーム腺機能不全とは、まぶたのふちにある脂の出口(マイボーム腺)が詰まるなどして、涙の表面を覆う脂がうまく出なくなる病気で、目の乾きや不快感の原因になります。ガイドラインは、温罨法で自覚症状や脂の質が改善したと評価しています。
また、使い捨てのアイマスクには、国の承認を受けた「管理医療機器(家庭用眼瞼用温熱パック)」として売られている製品もあります。たとえば花王のめぐりズムメディカルアイケアマスクの添付文書には、効果が次のように書かれています。
| 情報源 | 目を温めることについての記載 |
|---|---|
| マイボーム腺機能不全診療ガイドライン(日本眼科学会・日本角膜学会・ドライアイ研究会、2023年) | マイボーム腺機能不全の患者に温罨法を行うことを「強く推奨」。自覚症状と脂の質(meibum grade)を改善する |
| 花王 めぐりズムメディカルアイケアマスク(管理医療機器) | 蒸気温熱の効果による、日常生活の中で自覚される目のかわき・目の疲れ・目の不快感・目の異物感の緩和。1日1回、10分間程度が目安 |
| アテックス めめホット AX-HX130(充電式) | 取扱説明書に「本製品は医療機器ではありません」と記載 |
| 小林製薬 あずきのチカラ 目もと用(電子レンジで温めるタイプ) | 製品情報に「医療機器ではありません」と記載 |
このように、目を温める効果として公的に確かめられているのは、目のかわき・疲れ・不快感といった自覚症状をやわらげることと、マイボーム腺機能不全の治療の一部であることです。一方、今回確認した充電式や電子レンジで温めるタイプは医療機器ではないので、これらの効果を製品としてうたえるものではありません。「目を温めると気持ちがいい」という使い方の範囲で考えましょう。
「視力が回復する」「眼精疲労が治る」とはいえない
ホットアイマスクで視力が回復したり、眼精疲労が治ったりするとはいえません。
医療機器として承認されたアイマスクでも、効果は「自覚症状の緩和」に限られていて、視力の改善はうたわれていないからです。花王の添付文書も、コンタクトレンズや眼鏡の度が合っていないこと、症状に合わない目薬の使いすぎなどが原因の症状は改善しないとし、症状が続く場合は眼科医に相談するよう書いています。
「疲れ目」と「眼精疲労」も別のものです。日本眼科学会は、眼精疲労を「目を使う作業を続けることで目の痛みやかすみ、頭痛・肩こりなどが出て、休息や睡眠をとっても十分に回復しない状態」と説明しています。原因には度の合わない眼鏡のほか、緑内障・白内障・ドライアイなどの病気もあり、原因を見つけて取り除くことが必要で、特効薬はないとしています。休んでも目の疲れが取れないときは、ホットアイマスクでごまかさず、眼科で原因を調べてもらいましょう。
「目に悪い」といわれるのは、使ってはいけない人・熱さ・寝落ちのリスク
ホットアイマスクが「目に悪い」となるのは、主に使ってはいけない状態の人が使ったときと、熱すぎる・長すぎる使い方をしたときです。
メーカーの取扱説明書や添付文書では、目の病気や炎症がある人、手術後の人の使用を禁止したり、医師への相談を求めたりしていて、熱すぎる温度で使うとやけどの原因になると注意しているからです。小林製薬も、電子レンジで温めすぎたまま使うと目に悪影響が出るおそれがあるとしています。具体的には次のようなケースです。
逆にいえば、使ってよい状態かを確かめ、温度と時間を守れば、目を温めること自体を必要以上に怖がることはありません。次の章で、使ってはいけない人と場面を詳しく見ていきます。
ホットアイマスクを使ってはいけない人・場面
目の病気・手術後・炎症があるときは使わず眼科医に相談
目の病気で治療中の人、目の手術を受けた人、目や目のまわりに炎症・傷・腫れがある人は、ホットアイマスクを自己判断で使わないでください。
今回確認したどのメーカーも、これらの人には「使用しない」か「医師に相談する」よう求めているからです。ただし、書き方の強さはメーカーによって違います。

| 状態 | 花王(医療機器のアイマスク) | アテックス AX-HX130(充電式) | サンコー EYEMASCPK(充電式) |
|---|---|---|---|
| 目の病気がある・あった | 医師の治療を受けている人、白内障・緑内障など眼科で手術を受けた後で通院・投薬中の人、過去にドライアイと診断された人は医師または眼科医に相談 | 目の疾患(白内障・緑内障・網膜剥離・眼底出血・飛蚊症など)のある人、またはあった人は使用しない | 目の病気(白内障・網膜剥離など)のある人、またはあった人は医師と相談 |
| 目の手術を受けた | (上の欄のとおり医師に相談) | 使用しない(レーシック手術直後の人はかかりつけ医に相談のうえ使用) | 医師と相談(レーシック手術直後など) |
| 目や目のまわりの炎症・傷・腫れ | 疾患・炎症・傷・腫れ・湿疹などの異常がある人は使用しない | 眼球・目の周りにトラブルのある人は使用しない | 医師の治療を受けている人、顔に異常を感じている人は医師と相談 |
| 強度の近視 | 記載なし | -6D以上の人は使用しない | 記載なし |
目の病気があった人について、アテックスは「使用しない」、サンコーは「医師と相談」としています。当サイトでは、より安全な使い方として、目の病気や手術の経験がある人は自己判断で使わず、先に主治医(眼科医)に使ってよいか確認することをおすすめします。医師の了解を得て使う場合も、手持ちの製品の取扱説明書でその状態の人が「使用禁止」になっていないかを確かめてください。強度の近視(-6D以上)の人の使用を禁止している製品もあるので、近視が強い人も取扱説明書を確認しましょう。
ものもらい・目の充血や痛みがあるときは温めずに受診する
ものもらいでまぶたが腫れているとき、目が充血している・痛いときは、ホットアイマスクで温めずに眼科を受診しましょう。
「ものもらい」と呼ばれる病気には、まぶたの分泌腺に細菌が感染する麦粒腫と、まぶたの脂の腺(マイボーム腺)の出口が詰まってしこりができる霰粒腫があり、日本眼科学会はどちらも抗菌薬や炎症を抑える薬などで治療するとしているからです。見た目で自分で区別するのは難しく、メーカーも目や目のまわりに炎症・腫れがある人の使用を禁止しています。
「目を温めるとよい」と言われるのは、医師がマイボーム腺機能不全などと診断したうえで指示する場合です。眼科で温めるよう指導された人は、その方法と時間を守りましょう。
子ども・妊娠中・持病のある人は使う前に確認する
小さな子どもには電気式のホットアイマスクを使わせず、妊娠中の人や持病のある人は、使う前にかかりつけの医師に相談しましょう。
熱くなりすぎても子どもはうまく伝えられないことがあり、体の状態によっては温熱が刺激になることがあるからです。メーカーの記載は次のとおりです。
子どもについては、メーカーによって「使わない」と「保護者の監督のもと使える」に分かれます。当サイトでは、より安全な使い方として、子どもには電気式・電子レンジ式のホットアイマスクを使わせないことをおすすめします。
コンタクト・マツエク・目薬と一緒に使うときの注意
コンタクトレンズ・まつげエクステ・目薬と一緒に使うときは、メーカーの説明を確かめ、迷ったら外す・時間をあけるのが安心です。
エクステが取れて目に入ったり、目薬の効き方に影響したりするおそれがあるとメーカーが説明しているからです。
目薬とのあけ方は同じメーカーでも製品によって違うため、当サイトでは長いほうに合わせて、市販の目薬をさしたら5〜10分たってから温めることをおすすめします。
使い捨て・繰り返し使えるタイプ・充電式の違いと安全な使い方
ホットアイマスクは3種類。温度・時間・寝るときの扱いが違う
ホットアイマスクは、温め方で「使い捨て(蒸気)」「電子レンジで温めて繰り返し使う」「電気で温める充電式・USB式」の3種類に分けられ、温度や1回の時間、寝るときの扱いがそれぞれ違います。
使い捨ては開封すると中の発熱体(鉄粉を含む)が温まり、電子レンジタイプは中のあずきの水分を蒸気にして温め、電気式は内蔵のヒーターで温めるという、しくみの違いがあるからです。「ほっとアイマスク」と呼ばれることも多い使い捨ての蒸気タイプは、電気を使いません。

| 比べる点 | 使い捨て(蒸気) | 電子レンジで温める | 充電式(電気) |
|---|---|---|---|
| 確認した製品 | 花王 蒸気めぐるアイマスク | 小林製薬 あずきのチカラ 目もと用 | アテックス めめホット AX-HX130/サンコー 視えるブルブル温冷アイマスク EYEMASCPK |
| 温度 | 約40℃ | 記載なし(熱すぎると表面に「キケン!」の文字が出る) | 弱 約38℃・中 約42℃・強 約46℃(アテックス、ヒーター温度・室温25℃)/強 約48℃・中 約42℃・弱 約38℃(サンコー) |
| 1回の時間 | 快適時間 約20分 | 約10分が目安 | 約20分(アテックス)・約15分(サンコー)で自動オフ |
| くり返し使えるか | 使えない(発熱が終わったら再使用不可) | 250回まで。次の加熱まで4時間以上あける | 充電して使える(アテックスは約120分の充電で約100分使用可)。充電中は使えない |
| つけたまま寝る | 寝てもかまわない(発熱後のシートは少しかたくなる) | 就寝中は使用しない | サンコーは就寝時に使用しない。アテックスは20分で自動オフ |
使い捨ては手軽ですが1回きりで、発熱が終わったものを使い回すことはできません。くり返し使いたいなら電子レンジタイプか充電式です。充電式は温度を選べて自動で止まるのが便利な一方、強モードは使い捨てより高い温度になる製品があり、電池を内蔵した電気製品ならではの注意も加わります。
温度と時間の目安:低めの設定から、1回10〜20分まで
ホットアイマスクは、低めの温度から始めて、1回10〜20分程度で使いましょう。
医療機器のアイマスクは約40℃で1日1回10分間程度、電子レンジタイプは10分が目安、充電式は15〜20分で自動オフになる設計で、今回確認した製品はどれもこの範囲で使う前提だからです。また、熱いと感じない温度でも長く当て続けると低温やけどを起こします。NITEは、低温やけどになるまでの目安を次のように示しています。
| 皮膚に触れている温度 | 低温やけどになるまでの時間の目安 |
|---|---|
| 44℃ | 3〜4時間 |
| 46℃ | 30分〜1時間 |
| 50℃ | 2〜3分 |
充電式の「強」は約46〜48℃のヒーター温度の製品があり、肌に伝わる温度とは同じではないものの、この表の温度帯に近い設定です。アテックスの取扱説明書も、40〜60℃の比較的低い温度でも長時間同じ場所に触れていると、熱い・痛いと感じなくても低温やけどのおそれがあると注意しています。
そこで当サイトでは、まず弱(約38℃)から試し、強は熱いと感じたらすぐ下げる、自動オフのあとにスイッチを入れ直して何十分も温め続けない使い方をおすすめします。熱すぎる・痛い・違和感があるときは、どのメーカーもすぐに使用をやめるよう求めています。目や目のまわりに赤み・かゆみなどが続く場合は、医師に相談してください。
つけたまま寝る・寝落ちは避ける(メーカーで違う説明と当サイトの推奨)
ホットアイマスクをつけたまま眠ってよいかは、製品のタイプとメーカーで説明が分かれます。
電気を使わない使い捨てタイプは発熱が約20分で終わるのに対し、電子レンジタイプや電気式は、眠っている間に熱さに気づけないまま当て続けるおそれがあるからです。NITEも、低温やけどは熟睡しているときなどに受けやすいとしています。

当サイトでは、より安全な使い方として、電気式や電子レンジ式はつけたまま眠らず、温め終わったら外してから寝ることをおすすめします。寝る前に使う場合は、自動オフ機能のある製品を弱めの設定で使い、眠くなったら電源を切って外しましょう。つけたまま寝たい場合は、手持ちの製品の取扱説明書で就寝中の使用が禁止されていないことを確かめてください。発熱が終わった使い捨てタイプをそのまま遮光用に使うのは、花王が認めている使い方です。
充電式・USB式ならではの注意:充電中は使わない、高温の場所に置かない
充電式のホットアイマスクは、リチウムイオン電池を内蔵した電気製品として扱い、充電中は使わず、布団の中や高温の場所で使ったり充電したりしないようにしましょう。
リチウムイオン電池は、高温や強い衝撃で発火するおそれがあるからです。NITEによると、2021〜2025年の5年間に通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件あり、気温が上がる春から夏にかけて増え、8月が最も多くなっています。今回確認した2社の取扱説明書には、次の注意が書かれています。
なお、電気代はごくわずかです。アテックス AX-HX130の電池(3.7V・800mAh)の容量から計算すると、満充電1回分の電力量は約3Whで、電気代は約0.09円(31円/kWh、充電時のロスは含まず)です。満充電で約100分使えるので、20分の1回あたりでは1円にもなりません。捨てるときは、内蔵のリチウムイオン電池を自治体のルールに従って出してください。充電式の暖房グッズの電池の注意は、充電式カイロの記事でも解説しています。
ホットアイマスクの効果と使い方についてよくある質問
ホットアイマスクは毎日使ってもいい?1日何回まで?
今回確認したメーカーで、毎日の使用を禁止しているところはありませんでした。回数の目安は製品で違い、花王の使い捨て蒸気タイプは使用頻度の制限なし(花王 製品Q&A)、医療機器タイプは1日1回10分間程度、小林製薬の電子レンジタイプは次の加熱まで4時間以上あけるとしています。どのタイプでも、目や肌に違和感があるときは使うのをやめましょう。
使ったあと目がぼやける・涙が出るのは大丈夫?
原因をはっきり示した公的な資料は見当たりませんでした。少し休んでも見え方が戻らない、痛みや充血がある、使うたびにくり返すといった場合は、使用をやめて眼科を受診してください。花王の添付文書も、目の自覚症状が改善しない場合はすみやかに眼科を受診するよう求めています。
緑内障・白内障でもホットアイマスクを使える?
自己判断では使わず、主治医に相談してください。アテックスは白内障・緑内障などの目の疾患がある人・あった人の使用を禁止し、サンコーは医師との相談を求めています。花王の医療機器タイプも、白内障・緑内障などで手術を受けたあとに通院・投薬中の人は医師または眼科医に相談するよう書いています。
使い捨てのホットアイマスクは2回使える?
使えません。花王は、発熱が終わったアイマスクは再使用できないとし、医療機器タイプは「再使用禁止」としています。電子レンジで温めるのもやめてください(花王は電子レンジでの加熱を禁止しています)。くり返し使いたい場合は、電子レンジタイプ(あずきのチカラは250回まで)か充電式を選びましょう。
まとめ:ホットアイマスクの効果は「疲れ目・乾きの緩和」。目に悪い使い方を避けて
ホットアイマスクの効果として公的に確かめられているのは、目のかわき・疲れ・不快感などの自覚症状をやわらげることと、マイボーム腺機能不全の治療の一部(診療ガイドラインで強く推奨)であることです。視力の回復や病気の治療ができるものではなく、休んでも取れない目の疲れは眼科で原因を調べてもらいましょう。
目の病気・手術後・炎症があるとき、ものもらいのときは自己判断で使わず、眼科医に相談してください。子どもには電気式・電子レンジ式を使わせないのが当サイトのおすすめです。
使うときは弱めの温度から1回10〜20分程度にとどめ、電気式や電子レンジ式はつけたまま眠らないこと。充電式は充電中に使わず、布団の中や高温の場所に置かないようにしましょう。低温やけどの詳しい特徴は電気毛布は体に悪い?低温やけどの注意点、眠るときの温熱グッズの使い方は充電式湯たんぽは危険?でも解説しています。


