「電気毛布は体に悪いって聞いたけど本当?」「火事や電磁波が心配で、やめたほうがいいのか迷う」と不安に感じていませんか?
結論からいうと、電気毛布が体に悪いとはっきり示す根拠はなく、取扱説明書どおりに使えば過度に心配する必要はありません。ただし、低温やけど・温めすぎによる脱水・電源コードの傷みによる火事には注意が必要で、乳幼児や自分で温度を調節できない人などは、周りの人の付き添いや配慮が欠かせません。
この記事では、電気毛布が体に悪いといわれる理由と本当に気をつけたい点を、NITE(製品評価技術基盤機構)や東京都、WHO(世界保健機関)の資料、メーカーの取扱説明書をもとに解説します。使うのをやめたほうがいい人・注意が必要な人もまとめました。
電気毛布が「体に悪い」といわれる理由と本当の注意点
いちばん注意したいのは低温やけど

電気毛布でもっとも注意したいのは、寝ている間に起こる低温やけどです。
低温やけどは、熱いと感じない程度の温度でも、皮膚の同じところが長時間温められることで起こり、気づかないうちに皮膚の奥まで傷むことがあるからです。
東京都の注意喚起では、低温やけどになるまでの目安として、次の温度と時間を紹介しています(製品安全協会「製品と安全」第72号より)。
| 皮膚に触れている温度 | 低温やけどになるまでの時間の目安 |
|---|---|
| 44℃ | 3〜4時間 |
| 46℃ | 30分〜1時間 |
| 50℃ | 2〜3分 |
一方、電気毛布の「強」の表面温度は、メーカーの公表値で約51〜53℃(室温20℃での測定値)です。実際に体に触れる温度は布団の状態などで変わりますが、「強」のまま一晩寝ると、低温やけどの条件に十分入りうることがわかります。
東京都の資料では、電気毛布を使っていて足の指8本に低温やけどを負い、完治まで約6か月かかった事例(50代)も紹介されています。NITEも、製品に異常がないのに電気敷毛布で右ひざに低温やけどを負った事例(2019年、30代女性)を挙げ、就寝前に温めておき、就寝時は低い目盛りにするか、就寝中はスイッチを切るよう呼びかけています。
温めすぎによる寝汗・のどの渇き・脱水
電気毛布を高い温度で使い続けると、寝汗をかいたり、のどが渇いたり、脱水症状を起こしたりするおそれがあります。
寝ている間は暑さに気づきにくく、体が温められ続けることで、知らないうちに汗で水分が失われるからです。
パナソニックの取扱説明書は「高い目盛りで長時間使用しない」とし、低温やけどや熱中症(脱水症状など)をおこすおそれがあると注意しています。また、「毛布の温度が高すぎると、寝汗やのどのかわきの原因になります」とも書いています。山善の取扱説明書も、寝汗やのどの渇きは温度が高すぎるためなので温度を下げるよう案内しています。
「電気毛布を使うと朝のどが渇く」「寝汗をかく」と感じる場合は、温度が高すぎるサインです。寝るときは目盛りを下げるか、スイッチを切りましょう。
電磁波は健康への影響がはっきりしていない
電気毛布の電磁波(磁界)については、健康への影響があるとはっきり確かめられてはいませんが、「まったく心配ない」と言い切れる段階でもありません。
WHO(世界保健機関)は、家電などから出る超低周波の磁界と健康の関係を調べた報告書で、小児白血病との関連について「因果関係があると考えるほどには証拠は強くないが、関心を残すには十分に強い」とまとめているからです(環境省による日本語訳「環境保健クライテリア238」)。
電気毛布は体に密着して長時間使うため、ほかの家電に比べて磁界を受けやすい製品です。環境省の調査報告では、電気毛布の磁界は距離0cmで2.19〜6.82μT(マイクロテスラ)、10cm離れると最大1.26μTと、離れるほど小さくなることが示されています。
なお、国際がん研究機関(IARC)は超低周波磁界を「発がん性があるかもしれない(グループ2B)」に分類していますが、経済産業省が説明しているように、これは「科学的な証拠の強さ」による分類で、がんの起こしやすさを示すものではありません。
電磁波が気になる人は、寝る前に電気毛布で布団を温めておき、寝るときはスイッチを切るのが手軽な対策です。電源を切ればヒーター線に電流が流れないので磁界もほとんど出なくなり、低温やけどや脱水の予防にもなります。「電磁波カット」「電磁波を抑えた」とうたう製品もありますが、数値の測り方や比べている基準はメーカーごとに違うので、うのみにせず参考程度に見ておきましょう。
電気毛布の火事を防ぐための注意点
火事の主な原因は電源コードの断線とヒーター線の傷み
電気毛布の火事は、電源コードの断線や、毛布の中のヒーター線が傷んだところから起こることがほとんどです。
コードやヒーター線は、折り曲げや引っ張りをくり返すと中の電線が切れかけた状態になり、そこが異常に熱くなったり、火花(スパーク)が出たりするからです。
NITEには、電気毛布の事故が2007〜2011年度の5年間で57件報告されています(NITEの注意喚起資料)。また、NITEは次のような火災事例を紹介しています。
電気暖房器具の事故は12月〜2月に多く、NITEによると電気マット・電気毛布・電気あんかの事故は2月に最も多く起きています。寒さが厳しく、毎晩使う時期ほど注意が必要です。
火事を防ぐためのチェックポイント

電気毛布の火事を防ぐには、ヒーター線とコードを傷めない使い方と、使わないときにプラグを抜く習慣が大切です。
傷んだヒーター線やコードは見た目ではわかりにくく、気づかないまま使い続けることが事故につながるからです。
メーカーの取扱説明書や三菱電機の点検ページをもとにした、主なチェックポイントは次のとおりです。
点検の目安はメーカーによって違い、パナソニックの取扱説明書は長く(5年程度)使ったもの、広電の取扱説明書は買ってから4〜5年程度、山善の取扱説明書は数シーズン(3〜4年程度)たったものについて、支障がなくても点検を受けるよう案内しています。当サイトでは、より安全な目安として、買ってから3年程度たったら、シーズン前に販売店やメーカーに点検を相談することをおすすめします。古くなった電気毛布の見分け方や処分のしかたは、電気毛布の寿命と捨て方で詳しく解説しています。
つけっぱなしで寝るのは危ない?
電気毛布を高い温度のまま一晩中つけっぱなしにして寝るのは、低温やけどや脱水のおそれがあるので避けましょう。
NITEは「就寝前に布団を温め、睡眠中はスイッチを切るか、目盛りを最小の位置に合わせてください」と呼びかけていて(NITEの注意喚起)、メーカーの取扱説明書も「強」の目盛りで長時間使わないよう注意しているからです。
パナソニックの取扱説明書では、寝る前に「強」で温め、寝ているあいだは低温やけどをおこさないために「切」または「弱」にする使い方を案内しています。切り忘れが心配なら、一定時間で自動的に電源が切れるタイマー付きの製品を選ぶのも一つの方法です。
寝る前の温め方や目盛りの合わせ方は、電気毛布の正しい使い方で詳しく紹介しています。
電気毛布をやめたほうがいい人・注意が必要な人
乳幼児・自分で温度を調節できない人・高齢者

乳幼児や、病気などで自分で温度を調節できない人は、電気毛布をひとりで使わせないようにしましょう。
暑くなっても自分でスイッチを切ったり布団から出たりできないため、低温やけどや脱水に気づかないまま長時間温められてしまうからです。
山善の取扱説明書は「乳幼児、自分で温度調節できない方は付き添いなしでは使用しないでください」としています。パナソニックの取扱説明書も、乳幼児・お年寄り・ご病人・自分で温度調節できない方・皮膚感覚の弱い方が使うときは、温度を「弱」にするなど周りの人が特に注意するよう求めています。当サイトでは、より安全な使い方として、山善の取扱説明書のとおり、乳幼児や自分で温度を調節できない人には付き添いなしで使わせないことをおすすめします。付き添えないときは、寝る前に布団を温めておき、本人が布団に入る前にスイッチを切っておきましょう。
消費者庁も、子どもは大人より皮膚が薄く、心地よく感じる温度でも長時間触れていると低温やけどになることがあると注意を呼びかけています。
糖尿病の人・皮膚感覚が弱い人・薬や飲酒のあと
糖尿病などで手足の感覚が鈍くなっている人や、睡眠薬・かぜ薬を飲んだあと、お酒を飲んだあとは、電気毛布の使い方に特に気をつけましょう。
熱さや痛みを感じにくかったり、ぐっすり眠り込んで寝返りが減ったりするため、低温やけどを負いやすいからです。
NITEは、低温やけどは知覚障害や糖尿病などの神経障害があるときや、泥酔などで熟睡しているときに受けやすいとし、「糖尿病による神経障害や皮膚感覚の低下している人などは、(中略)電気毛布(中略)を使用する前に医師に相談してください」と呼びかけています(NITEの注意喚起)。パナソニック・山善の取扱説明書も、眠気を誘う薬を飲んだ人や、深酒・疲労の激しい人が使うときは注意するよう書いています。
心臓病の人・ペースメーカーを使っている人
心臓病の人や、心臓ペースメーカーなどの医療機器を使っている人は、電気毛布を使う前に主治医に相談しましょう。
メーカーの取扱説明書で、使用前に医師に相談するよう案内されているからです。
パナソニックの取扱説明書は「心臓病や皮膚の弱い方が使用するときは医師と相談する」とし、ペースメーカーなど医療用電気機器を使っている人も医師に相談するよう書いています。アイリスオーヤマの取扱説明書(EHB-1813)は「医療用ペースメーカーを使用している方は、本製品の使用に当たって、医師とよく相談する」とし、その理由を「ペースメーカーに影響を与える場合があります」と説明しています。また、日立の取扱説明書(HLM-141C)は「心臓病などで身体を暖めることが好ましくないかたは使用しない」と、より強く書いています。当サイトでは、より安全な使い方として、心臓病の人は使う前に必ず主治医に相談し、体を温めることがすすめられないと言われた場合は使わないことをおすすめします。
妊娠中の人
妊娠中の人が電気毛布を使ってはいけないという決まりはありませんが、高い温度で長時間使うのは避け、気になる場合はかかりつけの医師に相談しましょう。
今回確認したメーカーの取扱説明書には妊娠中の使用についての記載はなく、WHOの報告書でも、電気毛布などと妊娠の経過への悪い影響との関連について「説得力のある証拠を提示していない」とされているからです。
ただし、同じ報告書では、電気毛布を「高」に設定して使っていた女性について高めのリスクの推定値を報告した研究があることにも触れ、電気毛布が出す磁界や、使う人が受ける熱のストレスを反映している可能性があると解釈しています(環境省による日本語訳「環境保健クライテリア238」)。
寝る前に温めて寝るときは切る、使うとしても低い目盛りにする、という基本の使い方を守れば、体の温めすぎも防げます。
犬や猫などのペットがいる家庭
電気毛布を、犬や猫などのペットを温めるために使うのはやめましょう。
ペットがコードや毛布をかじったり、爪で引っかいたりして傷め、火事の原因になるおそれがあるからです。
パナソニック・山善の取扱説明書は、いずれも「犬や猫などのペットの暖房用に使用しない」としています。アイリスオーヤマの取扱説明書はさらに、ペットのいる部屋で使わないよう求め、ペットがコントローラーにおしっこをかけることも火災の原因になると説明しています。
NITEによると、2013〜2022年度の10年間にペットが関係した製品事故は61件あり、そのうち約9割(54件)が火災に至っています。当サイトでは、より安全な使い方として、アイリスオーヤマの取扱説明書のとおり、ペットが出入りする部屋では電気毛布を使わない(使うときはペットを部屋に入れない)ことをおすすめします。ペットと同じ部屋で使いたい場合は、手持ちの製品の取扱説明書でペットのいる部屋での使用が禁止されていないことを確認したうえで、コードをペットの届かない場所に通し、使わないときはプラグを抜いておきましょう。
電気毛布の安全性についてよくある質問
電気毛布を毎晩使っても体に悪くない?
毎晩使うこと自体が体に悪いと示す根拠はありません。そのうえで、寝る前に温めて寝るときは切るか低い目盛りにする、1日1回広げ直す、使わないときはプラグを抜く、という基本を守りましょう。
電磁波カットの電気毛布を選んだほうがいい?
電磁波が気になるなら選択肢になりますが、まずは「寝るときはスイッチを切る」使い方で、電気毛布から出る磁界を受ける時間を減らせます。電磁波カットの効果の表し方はメーカーごとに違うので、数字だけで判断しないようにしましょう。
子どもと一緒の布団で使ってもいい?
乳幼児は自分で温度を調節できないため、付き添いなしで使わせないのが基本です。一緒に使う場合は、寝る前に布団を温めておき、子どもが寝るときにはスイッチを切りましょう。
まとめ:電気毛布は使い方しだい。寝るときは切るか弱めるのが基本
電気毛布が体に悪いとはっきり示す根拠はなく、取扱説明書どおりに使えば過度に心配する必要はありません。気をつけたいのは、高い温度のまま寝ることによる低温やけどや脱水、そしてコードやヒーター線の傷みによる火事です。
寝る前に布団を温め、寝るときは目盛りを下げるかスイッチを切る。折りたたんだまま使わず、コードを傷めず、使わないときはプラグを抜く。この基本を守れば、多くのリスクは減らせます。
電磁波については、WHOも健康への影響があるとは確かめられていないとしています。気になる人は、寝るときにスイッチを切る使い方がもっとも手軽な対策です。
乳幼児や自分で温度調節できない人、糖尿病などで感覚が鈍くなっている人、心臓病やペースメーカーを使っている人は、周りの人が気を配るか、医師に相談してから使うようにしてください。
電気毛布の電気代が気になる方は、電気毛布の電気代は1時間・1ヶ月いくら?もあわせてご覧ください。


