最近、「モバイルバッテリーが発火した」というニュースを目にして、不安に感じた方も多いのではないでしょうか。
毎日使うものだからこそ、「安全で信頼できるモバイルバッテリーを選びたい」と感じるのは自然なことです。
実は、発火しにくいモバイルバッテリーには共通する特徴があります。
それが、国内メーカーによる安全設計と、「固体電池」や「準固体電池」と呼ばれる新しい電池技術です。
この記事では、モバイルバッテリーが発火する原因や前兆、安全に使うためのポイントをわかりやすく解説しながら、エレコム・オウルテック・磁気研究所などの日本メーカー製や、最新の固体電池モデルを紹介します。
「安心できるバッテリーを使いたい」「発火しないものを選びたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
モバイルバッテリーが発火する確率と原因
結論から言うと、モバイルバッテリーが実際に発火する確率はとても低いです。
何千、何万台に1台というレベルですが、ニュースなどで事故が報じられると「自分のも危ないのでは?」と心配になりますよね。
モバイルバッテリーの発火確率は、どの基準で算出するかによって大きく異なります。ブランドごとに品質差があるため、メーカーの良品率だけから単純に計算するのは難しいのです。
今回、かなりざっくりとしてますが、概算で計算する根拠として以下の数字を設定してみました。
モバイルバッテリーの台数:500億円 / 3,000円 = 約1,667万台
東京の市場規模(単純に全国に対する人口の割合で):1667万台*11%=約183万台
火災事故の割合:44件/183万台*100 = 0.0024%
概算での「発火確率」
5万台に1台(10万台に2台)
今回の計算は、入手できるデータを基にした概算です。実際の確率は、次のような要因で変動します。
- 計算は2024年の台数でしたが、ここ数年の出荷総数だとモバイルバッテリーの台数が増えるので、もう少し発火確率は減るかもしれない。
- ユーザー自身の「扱い不備」による事故を省くと火災事故の件数は1/3程度なので、確率はより下がる。(ただ、今年は事故がかなり増えているので、おそらく計算した件数と同じくらいかもしれない。)
あくまで、「目安」として計算してみました。
正確には、いろんな要因で火災発生率は変わってしまいます。
全てのモバイルバッテリーを統計的に計算してみたので、
購入されているモバイルバッテリーの「設計」や「品質」が良ければ、あなたに降りかかる火災確率は、より確率が下がるはずです。
そもそも、なぜ発火が起こるのでしょうか。
一番多い原因は、内部でショート(短絡)が起きることです。中の電池が傷ついたり、過充電で熱を持ちすぎたりすると、電解液が化学反応を起こして温度が急上昇します。
その結果、発火や膨張につながることがあります。
そのほかにも、次のようなケースが考えられます。
特にリチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、安全設計がしっかりしていないと熱がこもりやすい特徴があります。
そのため、日本のメーカーでは温度センサーや過充電防止回路を入れるなど、万一の暴走を防ぐ仕組みを複数搭載しています。(海外の大手ブランドも搭載しています。)
つまり、正しく使って品質の高い製品を選べば、発火はほとんど起こりません。
次の項では、発火の「前兆」を見分ける方法を紹介します。
モバイルバッテリー発火の前兆に気づくサイン
モバイルバッテリーには「危険の前兆」が現れる場合があります。
これらの兆候がある場合は、直ちに使用を中止し、安全な場所に置いてください。
これらの前兆を軽視すると、発火や発煙につながるおそれがあります。
発火を防ぐための基本対策: PSEマークの付いたものを選ぶ
発火リスクを下げるためには、日常的な取り扱いに注意が必要です。
また、PSEマーク(電気用品安全法)が付いた製品を選ぶことが何より重要です。
このマークがない商品は、日本国内では法律上販売できません。
発火しないモバイルバッテリーの条件
発火しないモバイルバッテリーを選ぶ最大のポイントは、電池の構造にあります。
従来のリチウムイオン電池は液体電解質を使用しており、内部短絡が起きると化学反応が進みやすいのが弱点でした。
これに対し、固体電池は液体を使わず、固体素材で電解質を構成するため、熱暴走がほぼ起きないという特長があります。
さらに準固体電池は、ゲル状の中間素材を用いることで、エネルギー密度と安全性を両立しています。
- 発火しない日本メーカー製モバイルバッテリー
- 固体電池・準固体電池採用の日本メーカー製モデルの注目株
- 安全マークと信頼できる選び方
- 発火しないバッテリーを選ぶチェックリスト
発火しない日本メーカー製モバイルバッテリー
国内ブランドは、安全性の高さに定評があります。
エレコム(ELECOM)
国内販売台数11年連続No.1の信頼メーカー
独自の温度監視機構と、過電圧検知ICを搭載。長期使用にも安心感があるシリーズが多いです。
ナトリウムイオンモバイルバッテリー(9,000mAh)
世界初のナトリウムイオン電池を採用し、発火リスクを抑えつつ環境負荷も低減
EC-C43LBK
過充電・過放電・過電流防止、短絡保護、温度検知を含む5つの保護回路が標準で搭載されています。
オウルテック(Owltech)
全製品を国内で検査し、耐熱・耐圧テストを実施。高出力USB PD対応でも信頼があります。
OWL-LPB5005-BK(5,000mAh)
チャージャー接続デバイスを自動識別し、最適な電流で安全充電
OWL-LPB20015-RBK(20,000mAh)
USB PD-PPS対応で60W出力が可能、高速で安全な充電体験
ppsについては、以下の記事で説明しています。
磁気研究所(マグレックス)HIDISC
PSE取得済みで、セルの品質も安定。シンプルながら安全回路を標準搭載しています。
HIDISC リン酸鉄 20000mAh 急速充電 モバイルバッテリー(ブラック) HD-MB20000RSLSBK
電気自動車でも使われるリン酸鉄バッテリーを採用した、安心・高性能なモバイルバッテリーです。
これらのメーカーはリチウムイオン式でも事故データが少なく、「発火しないやつ」としてユーザー評価も高い傾向にあります。
固体電池・準固体電池採用モデルの注目株
エアージェイ(air-j)とHamaken Worksは、国内でいち早く準固体電池を採用しています。
エアージェイ(air-j)
準固体電池モバイルバッテリーMB-SS5000 WH(5,000mAh)
耐熱性が高く、−20℃〜60℃の環境でも安定作動。内部短絡をほぼ起こさない新素材を採用しています。
Hamaken Works
準固体電池モデル SSPB シリーズ
国内検査と独自セル制御により、加熱試験でも発火ゼロを実現。見た目は通常のモバイルバッテリーながら、内部構造がまったく異なります。
これらは多少高価ですが、「熱暴走しない」「セル寿命が長い」という点で投資価値の高いモデルです。
安全マークと信頼できる選び方
モバイルバッテリーを選ぶときは、PSEマークの有無を必ず確認しましょう。
さらに安全性を裏付ける基準として、UN38.3試験(国際輸送規格)やTELEC認証(通信付きモデル)を通過しているかチェックすることも有効です。
Amazonやフリマサイトには、マークのない並行輸入品が出回っているため注意が必要です。
発火しないバッテリーを選ぶチェックリスト
このチェックを守るだけでも、事故リスクは大幅に減らせます。
まとめ:モバイルバッテリーが発火する確率は?安全な日本メーカーと固体電池モデル
- モバイルバッテリーが発火する確率は 約0.0024%(約5万台に1台) と非常に低い
- 発火原因の多くは 内部ショート・過充電・高温環境での使用 によるもの
- 「膨張」「異常な発熱」「焦げ臭さ」などは 発火の前兆サイン
- 発火を防ぐには、PSEマーク付き製品 を選び、純正ケーブルを使用することが基本
- 固体電池・準固体電池 は液体を使わない構造で、熱暴走や発火リスクを大幅に低減
- エレコム・オウルテック・磁気研究所 などの国内メーカー製は、安全設計と検査体制が充実
- エアージェイやHamaken Works の準固体電池モデルは、発火しにくく寿命も長い
- 購入時は、PSE・UN38.3・TELEC などの安全マークを確認することが重要
- 取り扱いの注意(高温環境での充電や圧迫を避けるなど)を守れば、発火リスクはほぼゼロに近い