スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器が普及した現代、USB端子から様々な機器を充電したり、電源を取ったりすることが当たり前になりました。
そんな中で、「USBからAC100Vに変換して家庭用コンセントの電気製品を使いたい!」と考えたことはありませんか?
今回は、この疑問について詳しく解説します。
USBからACコンセントにの逆変換コンセントは課題がある。
家庭用コンセント(AC100V)はどれくらい必要?
家庭用のAC100Vコンセントで使う家電製品は、例えば100Wや500W、場合によっては1000Wを超えるものもあります。
以下の記事に主な家電の消費電力をまとめた記事があります。
たとえば、ノートパソコンの充電器でも45W〜65W程度が一般的です。
なぜ変換できないの?
USBの電力では、AC100Vで動作する家電製品を動かすには全く足りません。
仮に変換装置を作ったとしても、出力できる電力はごくわずかで、実用的ではありません。
また、USB端子はもともと小型機器向けの規格なので、過大な電流を流すと発熱や事故の原因にもなります。
USBから供給できる電力の目安
USBから供給できる電力の目安は、規格によって異なります。
一般的なUSB端子は数ワット程度ですが、USB PD対応機器とケーブルを使えばノートPCや大型機器にも十分な電力供給が可能です。
以下はUSB規格ごとの電力供給の目安をまとめた表です。
USB規格 | 最大電力 (W) | 備考 |
---|---|---|
USB 2.0 | 2.5 | 一般的な旧規格 |
USB 3.0 / 3.1 Gen1 | 4.5 | 高速転送対応 |
USB Battery Charging 1.2 | 7.5 | 急速充電対応 |
USB Power Delivery (PD) | 最大100 | 電圧可変、ノートPC等にも対応 |
USB PD 3.1 (EPR) | 最大240 | 最新規格、高出力対応 |
USB4 | 最大100〜240 | USB PD対応時、高速充電・給電可能 |
このように、USBの規格によって供給できる電力は大きく異なり、特にUSB PD対応機器は最大100W〜240Wまで対応可能です。
USB PD 3.1 (EPR)以上で240W以下の家電を動かせないの?
240W以下の家電をUSB4で動かす場合でも「電力供給デバイス(アダプターやケーブル、家電側)」すべてがUSB PD EPR規格(48V/5A)に対応している必要があります。
どれか一つでも非対応だと、240Wの供給はできません。
また、USB給電は直流(DC)ですが、家庭用家電の多くは交流(AC)100V仕様のため、別途高効率なDC-ACインバーターも必要です。
つまり、理論上は可能でも、実用面では「全機器が規格対応」「変換ロスや安全性」「家電の起動特性」などの課題が残ります。
USBからACコンセントの逆変換コンセントが無いならどうする?
AC100VからUSBへの変換の製品はたくさんある
ちなみに、AC100VからUSBへの変換(USB充電器やACアダプター)はたくさん市販されています。
これは、家庭用コンセントの電力が十分に大きいため、USB機器を安全に充電できるからです。
家庭用コンセントが十分な電力を供給できるため、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど幅広いUSB機器を安全かつ効率的に充電できるという利点があります。
最近では、GaN(窒化ガリウム)技術を使った小型高出力のUSB充電器や、USB Power Delivery(PD)対応で最大100W以上の出力が可能なモデルも登場し、ノートPCの充電や複数台同時充電にも対応しています。
また、海外旅行などでも使える100V~240V対応のワールドワイド仕様や、複数ポート搭載モデルなど、用途やシーンに合わせて選べるのも特徴です。
全ての家電を動かすの不可能ですが、省電力の家電であれば、USB入力による駆動が可能な家電を揃える事も考えられます。
大型家電を期待されていたのではれば、次の解決策を参考にしてください。
どうしてもAC100Vを持ち運びたい場合は?
どうしても外出先でAC100V機器を使いたい場合は、ポータブル電源(バッテリー内蔵インバーター)を使うのが現実的です。
これらは大容量バッテリーを内蔵し、AC100Vのコンセントを備えています。
ただし、サイズや重量、価格が大きくなる点には注意が必要です。
ポータブル電源が防災対策や車中泊など電力供給が困難な様々なシーンでもAC100Vの利用ができます。
生活用の大型家電を稼働させるには、それなりの容量と重さのポータブル電源が必要になりますが、ちょっとした家電であれば稼働可能な小型のポータブルたくさん出てきています。

USBからACコンセントへの逆変換コンセントはあるか?のまとめ
近年はUSB端子を利用して様々な機器に電力を供給するのが一般的になりましたが、USBからAC100Vに変換して家庭用電化製品を動かすことは、電力不足や安全性の問題から現実的ではありません。
本記事のポイントをまとめると以下のようになります。
- USBからAC100Vに変換するコンセントは市販されていない
- USBの電力ではAC100V機器を動かすには全く足りない
- AC100VからUSBに変換する充電器は豊富にある
- どうしても必要ならポータブル電源を検討しよう