自宅や小規模施設に風力発電設備を導入する際には、さまざまな法的規制をクリアする必要があります。
風力発電の支柱の高さや設置場所によって適用される建築基準法、航空法、電気事業法、消防法、騒音規制法など、複数の法令が絡み合っています。
さらに、自治体ごとに独自の条例も存在するため、設置計画を進める前にしっかりと確認することが求められます。
本記事では、風力発電設備に関する主要な法的規制や許可手続きについて解説します。
ただし、事業用ではなく、「自家用」の風力発電を前提に解説します。
これから風力発電を導入しようと考えている方は、法的要件を把握し、適切な手続きを踏むことが重要です。
自家用と事業用の違い
規模: 自家用は通常、規模が小さく、許認可や手続きが簡略化されることが多いです。
手続きの簡素化: 自家用では「事業計画策定ガイドライン」のすべてのステップを踏む必要はなく、特に厳しい規制に関しては緩和される場合があります。(ガイドラインについては、下の方にリンクを記載しています。)
地域コミュニティとの関係: 自家用であっても、地域社会との良好な関係を維持するために、設置に関して事前に相談したり説明を行ったりすることが望ましいです。
法的規制の概要
建築基準法
支柱の高さ
風力発電設備の支柱が15m未満であれば、建築確認は不要です。
ただし、15m以上の場合は建築確認が必要となります。
航空法
プロペラ先端が60m以上になる場合、航空法が適用されるため、個人住宅での設置は事実上不可能です。
電気事業法
小出力発電設備
風力20kW未満の小型風力発電設備は、「電気主任技術者の選任」や「保安規程の届出」が免除されます。
ただし、立入検査を受ける場合があります。
小出力発電設備(太陽光50kW未満、風力20kW未満)の所有者は、電気主任技術者の選任や保安規程の届出が免除されますが、所有する発電設備を、経済産業省令で定める技術基準(以下「技術基準」という。)に適合させる義務があり、当省職員による立入検査を受けることがあります。
出典:経済産業省の記事:低圧太陽光発電設備や、小形風力発電設備を購入される皆様へ~より
一般的か家庭の消費電力について、1日分の目安は、以下の記事記載しています。
技術基準適合義務
所有する発電設備は経済産業省令により定められた技術基準に適合させる義務があります。
消防法
不燃材使用: 住宅地に設置する場合、不燃材で発電設備を作ることが必要です。
自分で材料を選ぶ機会は無いでしょうが、購入する機器の仕様をできるだけ調べておく事が大切です。
騒音規制法
騒音規制
騒音規制法により、時間帯によって騒音の規制値が決まっています。
住宅地ではこの規制が適用されます。
低周波騒音
低周波騒音は取り除くことができず、近隣住民から健康被害について損害賠償を請求される恐れがあります。
自治体の条例
自治体への確認
各自治体には独自の条例や環境保全地域が設定されている場合があります。
設置前に住んでいる自治体に確認することが重要です。
ガイドラインと推奨される手続き
事業計画策定ガイドライン(風力発電)
資源エネルギー庁が提供する「事業計画策定ガイドライン(風力発電)」は、再生可能エネルギー特別措置法及びその施行規則に基づいて、風力発電事業者が事業計画の認定申請を行う際の指針を示しています。
日本型風力発電ガイドライン
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が提供する「日本型風力発電ガイドライン」は、日本国内で風力発電設備を設置する事業者向けに情報を提供しています。
認可・届け出の手続き先
前節のガイドライン記載された認可や届け出を行う事になります。
自家用の場合、簡略される事が多いです。しかし、どの手続きが必要か判断するのは個人では難しいと思います。
専門業者や地域の自治体に一度相談する事をおすすめします。
まとめ
風力発電設備を導入する際には、多くの法的規制や許認可手続きが関わります。
建築基準法による支柱の高さ制限や航空法による設置場所の制約、電気事業法による技術基準の遵守、そして騒音規制や自治体の条例など、多岐にわたる規制をクリアすることが必要です。
さらに、環境への配慮や専門家による審査も不可欠です。
これらの規制をしっかりと理解し、計画段階から適切な手続きを行うことで、スムーズな風力発電設備の導入が可能になります。
風力発電の導入を成功させるためには、法的要件を十分に把握し、慎重に計画を進めることが重要です。