太陽光発電システムの中で重要なパーツの一つが「インバーター」です。
インバーターは電気を安全かつ効率的に利用するために欠かせない装置です。
この記事では、太陽光発電のインバーターについて、その役割や仕組み、選ぶ際のポイントなどを詳しく解説していきます。
太陽光発電のインバーター役割
インバーターとは、太陽光パネルで発電された直流電力(DC)を家庭で使える交流電力(AC)に変換する役割を果たします。
太陽光パネル自体は直流電力を生み出しますが、一般家庭で使われる家電製品は交流電力を必要とします。
そのため、インバーターは発電された電力を変換し、家庭の電力供給に適した形にする非常に重要な装置です。
インバーターはまた、系統連系を行う場合に電力の品質(電圧や周波数の安定性など)を調整する役割も持っています。
系統連系とは、
太陽光発電システムを電力会社の送電網に接続し、相互に電力をやり取りすることです。
これにより、自家発電で余った電力を電力会社に売電したり、不足した場合に電力会社から電力を受け取ったりすることが可能になります。
発電した電力を効率的に利用し、余った電力を売電するためにもインバーターは欠かせません。
太陽光発電のインバーター仕組み
インバーターの基本的な仕組みは、直流電力を交流電力に変換するための半導体素子を用いて、電圧や周波数を制御するというものです。
内部には電力変換のプロセスを管理する制御回路が組み込まれており、発電状況に応じて最適な変換が行われます。
また、インバーターには「MPPT(最大電力点追従)」と呼ばれる機能が搭載されています。
これにより、太陽光パネルから最大限の電力を引き出すことが可能になります。
天候やパネルの設置角度によって発電量が変動する中で、この機能は発電効率を最大化する上で重要な役割を果たしています。
パワコン(パワーコンディショナー)との違い
「インバーター」と「パワコン(パワーコンディショナー)」という言葉が混同されることがありますが、両者は基本的には同じ装置を指します。
ただし、日本では住宅用の太陽光発電システムにおいて「パワコン」という名称が使われることが多く、主に直流を交流に変換する機能に加えて、「系統連系」や「安全機能」を含んだ装置を指します。
例えば、一般家庭向けのシステムでは「パワコン」として、停電時のバックアップ機能を備えたものが選ばれることが多く、この点で単純なインバーターと異なる場合があります。
つまり、パワコンはインバーターの機能を含んだ、より包括的な装置と考えることができますが、実際にはほぼ同じ意味で使われることが多いです。
太陽光発電のインバーター寿命
インバーターの寿命は一般的に10年から15年程度とされています。
これは太陽光パネルの寿命(約25年から30年)よりも短いため、システム運用中に交換が必要となることが多いです。
インバーターの寿命が短い理由として、内部に多くの電子部品を使用していることが挙げられます。
これらの部品は熱や負荷により劣化しやすく、特に高温環境では寿命が縮む傾向があります。
一方、太陽光パネルは基本的に半導体素子の集まりであり、動作部分が少ないため長寿命が期待できるのです。
インバーターの寿命を延ばすためには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
例えば、
冷却フィンの掃除や周囲の換気状態の確保、過剰な湿気を避けることなどが重要です。
また、直射日光を避けて設置することも劣化を防ぐために効果的です。
寿命が尽きると、効率が低下するだけでなく、発電そのものが停止することもあります。
そのため、交換時期を見逃さないようにすることが大切です。
メーカー保証が付いていることも多いので、購入時には保証期間も確認しておくと安心です。
太陽光発電のインバーターのメーカーと価格
現在、日本国内外で多くのインバーターメーカーが製品を提供しています。
代表的なメーカーには、オムロン、SMA、ファーウェイ、ソーラーエッジなどがあります。
それぞれのメーカーは異なる特長を持ち、例えば効率性や耐久性、価格帯などで選択肢が異なります。
インバーターの価格は、容量や機能によって大きく異なります。
例えば、家庭用の小規模なインバーターであれば、価格は10万円から30万円程度が一般的ですが、大容量や高機能なインバーターになると、それ以上の価格になることもあります。
購入時には、システムの規模や設置環境に適した製品を選ぶことが重要です。
各メーカーのインバーターには、それぞれ独自の特徴があります。以下に代表的なメーカーの特長をまとめました。
オムロン:
日本の大手電機メーカーで、高い信頼性と耐久性を持つ製品を提供しています。
特に日本市場に適した製品ラインナップが特徴です。
ダイヤモンドエレクトリックホールディングス:
系統連系型インバーターを提供しています
東芝三菱電機産業システム:
主に産業用途に強みを持っています。
SMA:
ドイツのメーカーで、世界的に高いシェアを持っています。
高効率な変換性能と先進的な技術が評価されています。
ファーウェイ:
中国の通信機器大手で、近年は太陽光発電分野にも進出しています。
コストパフォーマンスに優れた製品を提供し、スマート機能の充実が特徴です。
ソーラーエッジ:
イスラエルの企業で、パワーオプティマイザを組み合わせたシステムにより、影の影響を最小限に抑え、発電効率を最大化する技術を持っています。
これらのメーカーは、効率性、耐久性、価格帯、機能性などで異なる特長を持っています。
選択の際には、システムの規模や設置環境、予算に応じて最適な製品を選ぶことが重要です。
選び方のポイント
インバーターを選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- システムの規模: 家庭用や商業用など、システムの規模に合った容量を持つインバーターを選ぶことが重要です。
- 変換効率: 変換効率が高いインバーターを選ぶことで、より多くの電力を有効に利用することができます。メーカーによって変換効率が異なるため、効率の高い製品を選びましょう。
- 機能性: MPPT機能や停電時のバックアップ機能など、必要な機能が搭載されているか確認することも大切です。
- 耐久性と保証: インバーターは寿命がある装置ですので、耐久性が高く、保証期間が十分に設定されている製品を選ぶと安心です。
- コストパフォーマンス: 初期費用だけでなく、長期的な運用コストや交換の必要性も考慮して、総合的なコストパフォーマンスを評価しましょう。
まとめ
太陽光発電システムにおいて、インバーターは直流を交流に変換し、電力を効率的に利用するための重要な装置です。
その役割や仕組みを理解し、適切な選択をすることで、太陽光発電の効率を最大限に引き出すことができます。
パワコンとの違いや寿命、価格なども考慮し、最適なインバーターを選ぶことが、長期的な太陽光発電システムの運用の成功につながります。