「新築の注文住宅、給湯器はエネファームとエコキュート、どっちにしますか?」
ハウスメーカーの担当者にこう聞かれて、即答できる人はほとんどいません。
「名前は似ているけど、そもそも何が違うの?」
「結局、どっちがお金がかからないの?」
と悩みますよね。
給湯器は一度設置すると10年以上使い続ける設備です。
選び方を間違えると、初期費用で数十万円損をしたり、月々の光熱費が予想以上に高くなって後悔することになりかねません。
この記事では、エネファームとエコキュートの違いを徹底比較し、初期費用からランニングコスト、メリット・デメリットまでを包み隠さず解説します。
結論から言うと、選び方の基準は以下の通りです。
なぜこう言い切れるのか?
その理由を、具体的な数字とともに見ていきましょう。
1分でわかる!エネファームとエコキュートの決定的な違い
まずは、この2つの根本的な「仕組み」の違いを理解しましょう。
ここを間違えると、ライフスタイルに合わない選択をしてしまいます。
エネファーム:家が「小さな発電所」になる(ガス)
エネファームの最大の特徴は、「ガスでお湯を作りながら、電気も作る(発電する)」という点です。
都市ガスやプロパンガスから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電します。
その時に発生する熱でお湯を沸かします。
つまり、お湯を使えば使うほど、発電して家の電気代を下げてくれる仕組みです。
エコキュート:空気の熱でお湯を沸かす(電気)
エコキュートは、「電気と空気の熱を利用してお湯を作る」給湯器です。
エアコンの室外機のようなヒートポンプ技術を使い、少ない電気エネルギーで効率よくお湯を沸かします。
基本的には、電気代が安い深夜にお湯を作り置きして、日中に使います。
【比較表】基本スペックの違い
サッと確認できる比較表を用意しました。
| 比較項目 | エネファーム (ガス) | エコキュート (電気) | どっちが有利? |
| 動力源 | ガスでお湯を作り、電気も作る | 電気と空気の熱でお湯を作る | 好みによる |
| 主な機能 | 給湯 + 自家発電 + (暖房) | 給湯のみ | エネファーム |
| 設置コスト | 高い (100万円〜) | 安い (40〜70万円) | エコキュート |
| 光熱費 | ガスの力で電気代が下がる | 深夜電力・太陽光活用で安い | 使い方による |
| 寿命目安 | 約10年〜12年 | 約10年〜15年 | エコキュート |
| 相性の良い家 | ガス床暖房派・大家族 | オール電化・太陽光あり | – |
【徹底シミュレーション】価格とコストパフォーマンス対決
ここが一番気になるポイントですよね。
「結局、お金の面ではどっちがお得なの?」という疑問に、初期費用とランニングコストの両面から迫ります。
1. 初期費用(導入コスト)の相場
導入コストに関しては、圧倒的にエコキュートが安く済みます。
- エネファーム:約100万円〜200万円発電ユニットなどの精密機器が組み込まれているため、機器本体が高額です。
- エコキュート:約40万円〜70万円普及率が高く、構造もエネファームよりシンプルなため、価格が抑えられています。
注意:補助金を忘れずに!
国の「給湯省エネ事業」などの補助金を使えば、エネファームなら十数万円、エコキュートなら数万円〜十万円程度の補助が出る場合があります。必ず最新情報をチェックしましょう。
2. 月々の光熱費(ランニングコスト)
「エネファームは高いけど、元が取れる」という営業トークを聞いたことがありませんか?
これは半分正解で、半分間違いです。
3. 結局「元が取れる」のはどっち?
正直なシミュレーションをお伝えします。
エネファームで、エコキュートとの差額(約100万円)を回収するのはかなり難しいのが現実です。
例えば、エネファーム導入で年間5万円光熱費が得になったとしても、100万円の差額を埋めるには20年かかります。
しかし、エネファームの寿命はもっと早く来ます。
つまり、「金銭的な損得(コスパ)」だけで選ぶなら、エコキュート(オール電化)に軍配が上がります。
ただし、エネファームには「お金には代えられない価値(快適性やレジリエンス)」があります。
それを次で解説します。
後悔しないために知っておくべき「デメリット」とリスク
メリットばかり見て契約すると、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔します。
それぞれの弱点をしっかり把握しておきましょう。
エネファームのデメリット・注意点
- 機器代が高く、元が取りにくい前述の通り、経済メリットだけで導入すると期待外れになる可能性があります。
- 設置スペースが必要貯湯タンク+発電ユニットが必要なため、エコキュートよりも広い設置場所が必要です。
- 低周波音のリスク発電時に低い音(低周波音)が出ます。静かな住宅街で隣家との距離が近い場合、トラブルになるケースも稀にあります。
エコキュートのデメリット・注意点
- 「お湯切れ」の貯湯タンクに貯めたお湯を使う仕組みなので、来客などで普段より多くお湯を使うと、シャワーの途中で水になってしまうことがあります(沸き増しには時間がかかります)。
- 水圧が弱く感じることがある水道直圧式のエネファーム(ガス給湯器)に比べ、一度タンクを経由するためシャワーの水圧が弱くなることがあります。「高圧タイプ」を選べばこの問題はほぼ解決します。
- 停電時にお湯が作れないタンクにお湯が残っていれば使えますが、新たにお湯を沸かすことはできません。
【結論】あなたはどっち?タイプ別おすすめ診断
ここまでを踏まえて、あなたの家庭にはどちらが合っているかを判定します。
「エネファーム」がおすすめな人
- ガス温水床暖房をリビングや各部屋に入れたい(電気式よりガス式の方がパワーがあり暖まるのが早いです)
- 浴室乾燥機(ミストサウナ等)を頻繁に使いたい。
- 4人以上の家族で、お湯の使用量がとても多い。
- 災害対策重視。停電しても発電してスマホの充電や照明を使いたい(※自立運転機能付きモデルの場合)。
「エコキュート」がおすすめな人
- とにかく初期費用・ランニングコストを抑えたい。
- キッチンはIHクッキングヒーターにする予定だ(オール電化)。
- 太陽光発電パネルを設置する(昼間の余った電気でお湯を沸かす「おひさまエコキュート」などの活用で、さらに光熱費が下がります)。
- お湯の使用量は標準的である。
よくある質問(FAQ)
- Q寿命が来たら交換費用はいくらかかりますか?
- A
どちらも10年〜15年が目安です。交換費用も導入時と同程度かかりますが、配管工事が済んでいる分、少し安くなる傾向があります。エネファームは発電機能の点検・停止期限が決まっているため、期間終了後は普通の給湯器として使うか、買い替えが必要です。
- Q寒冷地でも使えますか?
- A
どちらも「寒冷地仕様」のモデルが販売されているので使用可能です。ただし、エコキュートは外気温が低すぎると効率が落ちるため、光熱費のメリットが薄れる地域もあります。北海道などはガス(エコジョーズ等)が主流です。
まとめ:【どっちが得?】エネファームvsエコキュート!
エネファームとエコキュート、それぞれの特徴を整理しました。
- 快適さと災害への強さなら「エネファーム」
- コスパとオール電化なら「エコキュート」
カタログの数値だけで悩むよりも、実際にあなたの家の条件(地域、家族構成、設置場所)で「いくらかかるのか(見積もり)」と「どれくらい安くなるか(光熱費シミュレーション)」を出してもらうのが一番の近道です。
ハウスメーカーやリフォーム業者に「両方のパターンでシミュレーションしてほしい」と依頼して、納得のいく選択をしてくださいね!


