モバイルバッテリーや充電器の裏にある「ULマーク」って何?安物買いで失敗しないための安全知識

モバイルバッテリーや充電器の裏にある「ULマーク」って何?安物買いで失敗しないための安全知識 テクノロジー知識
記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

Amazon、楽天や家電量販店で、ポータブル電源やUSB充電器を買おうとしたとき。

あるいは、手持ちのモバイルバッテリーの裏側の細かい文字をなんとなく眺めたとき。

「UL」という文字が丸で囲まれたマークを見たことはありませんか?

「PSEマーク(日本の安全基準)」は有名ですが、この「ULマーク」も、実は私たちが毎日使う充電グッズの安全性を見極める上で非常に重要なマークなのです。

今回は、発火事故などがニュースになることも多いバッテリー・充電関連製品において、ULマークが持つ意味と、失敗しない製品の選び方を解説します。

UL(ユーエル)とは?一言でいうと「アメリカ発の厳しい安全証明書」

UL(ユーエル)とは、アメリカにある「製品の安全を検査する機関(Underwriters Laboratories)」のことです。

ULマークの左上に小さい「c」、右下に小さい「us」がついている
MacbookのACアダプタ

100年以上前から、「その電気製品を使っても火事にならないか?」「感電しないか?」を徹底的にテストしてきました。

つまり、あなたの持っているモバイルバッテリーや充電器にULマークがついているということは、 アメリカの厳しい安全基準によるテストをクリアした製品ですよ という証明書なのです。

なぜ「バッテリー・充電器」で重要なのか?

スマートフォンを充電するUSB充電器や、キャンプで使うポータブル電源。

これらは便利な反面、粗悪なものを使うと以下のようなリスクがあります。

  • コンセントからの発火・感電
  • リチウムイオン電池の膨張・爆発
  • 異常な発熱によるやけど

ULのテストは非常に過酷です。

例えば、モバイルバッテリーなら、「高いところから落とす」「押しつぶす」「過充電し続ける」といったテストを行い、「それでも燃えたり爆発したりしないか」を確認します。

安さを売り文句にした製品の中には、安全回路を省いているものも存在します。

ULマークは、そうした「見えない部分の安全性」が担保されているかどうかの判断基準になります。

日本の「PSEマーク」とは何が違うの?

日本国内で販売されるモバイルバッテリーやACアダプターには、法律で「PSEマーク」の表示が義務付けられています。

  • PSEマーク:
    日本の法律(電気用品安全法)で定められた最低限の基準。これがないと日本で販売してはいけない。
  • ULマーク:
    アメリカの基準。日本では義務ではないが、「法律以上に厳しい第三者のチェックを受けている」という品質の証。

つまり、日本で売られている製品で「PSE」がついているのは当たり前(最低ライン)。

それに加えて「ULマーク」もついている製品は、世界基準の安全性もクリアした、より信頼性の高い製品と言えるでしょう。

ULの横にある小さい「c」や「us」は何?(cUL規格について)

製品の裏側をよく見ると、ULマークの左上に小さい「c」、右下に小さい「us」がついていることがあります。

「これって偽物? 違う規格?」と心配になるかもしれませんが、安心してください。

これはより広い地域で安全性が認められている証拠です。

1. 「c」はカナダ(Canada)の「c」

ULマークの左側に「c」がついている場合(cUL)、それは「カナダの安全基準にも適合している」という意味になります。

アメリカ(UL)とカナダ(CSA)は隣国同士ですが、安全のルールが少し異なります。

本来なら別々に試験を受ける必要がありますが、ULが「カナダのルールでもテストしましたよ」と証明しているのがこのマークです。

2. よく見るのは「cULus」マーク

現在のモバイルバッテリーや充電器で一番よく見かけるのは、左に「c」、右に「us」がついた「cULus」マークです。

  • c (Canada): カナダの基準をクリア
  • us (United States): アメリカの基準をクリア

つまり、「この製品は、アメリカとカナダ、両方の厳しい基準を一発でクリアしています」という、いわば北米市場への最強のパスポートを持っている状態です。

3. 日本のユーザーにとっての意味は?

「日本で使うなら関係ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、cULusマークがついているということは、メーカーが「北米という巨大な市場で販売するために、コストをかけてしっかり安全対策をしている」ことの裏返しでもあります。

日本国内だけの基準(PSE)で満足せず、世界基準の安全性を確保している製品として、信頼性の目安の一つになります。

実はこんなにある!身近な「ULマーク」対象製品

「UL規格」というと、なんだか特殊な機械の話に聞こえるかもしれませんが、実は私たちの家の中はUL認証製品で溢れています。

特に「熱を持つもの」「電気を溜めるもの」には、このマークがついているかどうかが安全の分かれ道になります。

代表的なものをチェックしてみましょう。

1. バッテリー・蓄電池製品(最重要!)

もっとも発火事故のリスクが高いため、メーカー側も取得に力を入れています。

  • モバイルバッテリー: ポケットの中で燃えないよう、厳重なテストが必要です。
  • ポータブル電源: キャンプや防災用。容量が大きい分、安全基準もシビアです。
  • ノートPCのバッテリー: 純正品にはほぼ必ず認証が入っています。

2. 電源・充電アダプター類

コンセントに直接挿すものは、火災の入り口になり得るため重要です。

  • USB充電器(ACアダプター): Ankerなどの有名メーカー品はほぼ取得済みです。
  • ノートPCの電源ブロック: ケーブルの途中にある四角い箱(ACアダプター)の裏を見てみてください。「UL」の文字が見つかるはずです。
  • ワイヤレス充電器: 置くだけ充電(Qi充電器)なども対象です。

3. 配線・電源タップ

意外と見落としがちなのがここです。

  • 電源タップ(延長コード): ずっと挿しっぱなしにするものだからこそ、耐熱性やトラッキング防止(ホコリによる発火防止)の性能が求められます。
  • LANケーブル・HDMIケーブル: 高品質な通信ケーブルも、燃えにくさ(難燃性)の規格としてULを取得しているものがあります。

Amazonや楽天で買う時、どこを見ればいい?

実店舗ならパッケージの裏を見れば分かりますが、Amazonや楽天などのネット通販ではどこを確認すればよいのでしょうか?

チェックすべきポイントは主に2つです。

① 商品画像の「認証書」アピールを見る

しっかりコストをかけてUL認証を取得しているメーカーは、それを大きな強みとしてアピールしています。

商品画像の2枚目〜5枚目あたりをスライドしていくと、「UL認証取得済み」「多重保護システム」といった画像と共に、マークや証明書の一部が掲載されていることが多いです。

② 「商品ガイドとドキュメント」欄を見る

(※PC表示の場合など) Amazonの商品ページ下部にある仕様欄に「UL」の記載があるか、あるいは質問コーナーでメーカーが「UL規格に準拠していますか?」という質問に回答しているケースもあります。

注意点:怪しい製品の見分け方 商品説明の日本語が不自然で、極端に安く、かつ「PSE認証済み!UL認証済み!FCC認証済み!」とあらゆる規格をテキストだけで羅列している無名ブランド製品は注意が必要です。 実際に届いてみるとマークがない、というケースもあります。迷ったら、次に紹介する「定番メーカー」を選ぶのが無難です。

まとめ:命とスマホを守るために、マークを確認しよう

ポータブル電源やモバイルバッテリーは、大きなエネルギーを詰め込んだ「小さな発電所」のようなものです。

数百円、数千円の安さを求めて、発火事故で家や大切なスマートフォンを失ってしまっては元も子もありません。

次に充電グッズを買うときは、デザインや容量だけでなく、ぜひ「ULマーク」がついているか、信頼できるメーカーかをチェックしてみてください。

そのマークは、メーカーがコストをかけて安全性を追求した「誠意の証」でもあります。

関連記事

タイトルとURLをコピーしました